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[JVTA発] 今週の1本☆inBLG

今週の1本 『美少女戦士セーラームーンS』

今週の1本  『美少女戦士セーラームーンS』
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10月のテーマ:月

 
“推し”とは自分の好きな人やモノを指す言葉。アニメや漫画で一番好きなキャラクター、音楽グループなどで一番好きなメンバーを“推し”と呼ぶ。今回は私の長年の“推し”について、語らせていただきたい。

 
『美少女戦士セーラームーン』の天王はるか。髪はベリーショートで服装もボーイッシュなので“美少年戦士”の方がしっくりきそうな風貌なのだが、「セーラーウラヌス」に変身する美少女戦士だ。私の“推し”である。かわいいキャラクターが多いなかで、かっこいいウラヌスに、幼い私はなんとなく惹かれたのだと思う。一番記憶に残っているのは、保育園の頃に友達と一緒に毎日セーラームーンごっこをして、自分がウラヌス役をやっていたことだ(好きなキャラクターをやっていたなんて今思うと恐れ多い…)。大人になるにつれて、小さい頃に好きだったキャラクターは懐かしいと思うだけで好きな気持ちは薄れていくことが多かった。しかし、大人になった今もウラヌスは変わらずに好きだ。

 
天王はるか(セーラーウラヌス)を初めて見た人は、まず性別に悩むだろう。原作者の武内直子先生は天王はるかというキャラクターをどうやって生み出したのか気になるところだ。はるかのときの服装は男性的で、制服も男性用だ。しかし、セーラーウラヌスに変身するとスカートを身につける。変身後は女性的になるかと思いきや、口調は普段と同じく男性的で一人称も「僕」だ(漫画では「俺」と「あたし」の両方を使っている)。男性的な面と女性的な面のはっきりとした境界線がないのだ。子どもの頃はセーラーウラヌスに変身した姿しか印象に残っていなかったので何も疑問に思わなかったが、今考えると少し複雑な設定のキャラクターだと思う。しかし、カテゴライズできないことが、はるかの大きな魅力である。

 
天王はるかを語る上で欠かせない存在についても話したいと思う。海王みちるという「セーラーネプチューン」に変身するセーラー戦士である。みちるは、はるかとは対照的だ。髪は長く、お嬢様のような丁寧な話し方をする。一見、大人しいタイプにも見えるのだが、実際はみちるの方が気が強く、はるかを圧倒しているようにも感じる。そんな2人の関係性は面白い。でも、興味深いのはそれだけではない。なぜみちるがはるかにとって欠かせない存在かというと、2人はパートナーなのだ。保育園児だった私はいつも一緒にいる2人見て、仲良しなんだなーぐらいにしか思っていなかったのだが、大人になってパートナーだという設定を知り、驚いた。今でこそLGBTに対する理解は深まっているが、原作の連載中やアニメ放送当時はLGBTを描いている作品はあまり多くなかったのではないかと思う。2人の関係が自然に描かれているのは、大きな意味を持つと思う。

 
子どもの頃はなんとなく好きだった「セーラームーン」は、大人になって印象が変わった。先にあげたようなジェンダーやLGBTについても触れている作品だとは思っていなかった。私がなぜ天王はるかを長年好きなのかは、一言で言ってしまえば「かっこいいから」に尽きる。もちろん「好き」には理由がないこともあるが、敢えて理由を探ってみるとさらに意外な発見があるのかもしれない。

 
アニメでは、はるかとみちるが出てくるシーンになるとあるBGMが流れ、バラが舞い散るという演出があるので、そこもぜひチェックしてほしい。

 
『美少女戦士セーラームーンS』
テレビ放映:1994年3月19日 – 1995年2月25日
原作:武内直子
製作:テレビ朝日、東映エージエンシー、東映動画
製作国:日本

 
Written by 吉原明日香

 

〔JVTA発] 今週の1本☆ 10月のテーマ:月
当校のスタッフが、月替わりのテーマに合わせて選んだ映画やテレビ番組について思いのままに綴るリレー・コラム。最新作から歴史的名作、そしてマニアックなあの作品まで、映像作品ファンの心をやさしく刺激する評論や感想です。次に観る「1本」を探すヒントにどうぞ。

 
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