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最新作『本気のしるし《劇場版》』東京再上映が決定! 深田晃司監督インタビュー

最新作『本気のしるし《劇場版》』東京再上映が決定! 深田晃司監督インタビュー
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深田晃司監督の最新作『本気のしるし《劇場版》』が2021年1月16日からシアター・イメージフォーラムで再上映されます。中小商社に勤める会社員・辻一路(森崎ウィン)がコンビニで不思議な雰囲気の女性・葉山浮世(土村芳)と出会ったことからトラブルに巻き込まれていくサスペンスタッチの物語です。原作は星里もちる氏の同名コミック。深田監督が20年近くも映像化を熱望し、満を持して、2019年に名古屋テレビ(メ~テレ)で連続ドラマ化。放送後の高い評価を受け、未公開シーンを入れた“ディレクターズカット版”が第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクションに選出された後、2020年10月に劇場公開されました。この作品の英語字幕をJVTA映像翻訳コース修了生の蔭山歩美さんとJVTA日英映像翻訳コースのジョナサン・ホール講師が手がけました。

『本気のしるし《劇場版》』予告編

 
深田監督の作品はこれまで、カンヌ国際映画祭、ナント三大陸映画祭、プチョン国際映画祭、マドリッド国際映画祭など海外の映画祭でも高い評価を受けています。そこで、今回は深田監督に英語字幕や海外での反響などについて、お話を伺いました。

 
JVTA 深田監督の作品は深層心理を描くミステリアスなものが多く、観た人の判断に解釈を委ねるような結末もあります。ご自身で脚本も多く手がけていらっしゃいますが、作り手として『本気のしるし』の英語字幕翻訳に関するインタビュー記事をご覧になり、深田監督がお感じになったことがあれば教えてください。
◆『本気のしるし《劇場版》』 英語字幕制作秘話はこちら
本気のしるしチーム
※英語字幕を手掛けたジョナサン・ホール講師と深田晃司監督、蔭山歩美さん

 
深田晃司監督 これまで私の作品は様々な方に翻訳してもらいましたが、こうして翻訳者の方の作業の行程を知ることはあまりできないので、興味深く拝読しました。これだけクリエイティブに原作と監督の意図を汲み取って頂いたことには感謝しかありません。「台詞の反復」や浮世が連発する「すみません」をどう伝えるかのような重要な演出も、「星里先生の他の作品タイトルの引用」のようなちょっとした遊びのような点まですべてに等しく労力を割いて頂けていることに、頭が下がる思いです。
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『本気のしるし《劇場版》』より ©星里もちる・小学館/メ~テレ

 
英語字幕は、その後多くの言語に翻訳されるときのベースになるので、実はとても重要です。その根幹となる翻訳を蔭山歩美さんとジョナサン・ホールさんにお願いできてよかったです。

 
JVTA 『本気のしるし《劇場版》』は2020年の東京国際映画祭でも上映されました。英語字幕でご覧になった方からの感想で印象に残ったものはありましたか?

 
深田晃司監督 やはり浮世の「すみません」の翻訳の多彩な訳し方に感心されている方がいました。
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『本気のしるし《劇場版》』より ©星里もちる・小学館/メ~テレ

 
JVTA 同じ作品でも日本と海外では観客の反応は違いますか? 例えば、思わぬシーンで笑いがおこった、上映後の質疑応答などで意外な質問があった、国によって反応が違ったなど、印象に残っていることがあれば教えてください。

 
深田晃司監督 『本気のしるし』は選出されたカンヌ国際映画祭がコロナで中止になってしまい、その後、海外の映画祭はほとんどオンラインでQ&Aが行えていないので、反応はまだ分かりません。2021年にフランスで一般公開される予定なので、その反応が楽しみです。
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『本気のしるし《劇場版》』より ©星里もちる・小学館/メ~テレ

 
他の作品で言うと、やはり笑いはどの作品でも海外の方がたくさんでますね。特に、こちらとしても「笑ってもいいんだけどな」と思うシーンでも、全体の物語がシリアスだと場の空気を乱してはいけないという配慮が働くのか日本だと静かなのですが、海外だと遠慮なく笑いがおきます。

 
不思議なのは、喜劇的なアクションが起きたとき、日本だとそのアクションに対して笑いが起きやすいのに対し、ヨーロッパではそのアクションに対する周囲のリアクションに笑いが起きやすいことです。また、政治的・社会的な背景や問題意識に対し海外の方が敏感であるという印象です。
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『本気のしるし《劇場版》』より ©星里もちる・小学館/メ~テレ

 
JVTA 深田監督は脚本も数多く担当されていらっしゃいます。言葉へのこだわりの部分をぜひ伺いたいと思います。

 
深田晃司監督 『本気のしるし』はまず星里先生の素晴らしい原作があり、その台詞をいかに魅力を損なわず映像の脚本に置き換えていくかを脚本家の三谷伸太朗さんと行いました。星里先生の台詞はまさにそのキャラクターから発せられたというリアルな説得力のある言い回しが多く、なるべく生かしていく方向で作りましたが、ただやはり漫画の台詞は基本的には文字で読むことを前提とした「書き言葉」であるので、それを俳優の身体から発せられることを前提とした映像の「話し言葉」に微修正していく必要はありました。
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『本気のしるし《劇場版》』より ©星里もちる・小学館/メ~テレ

 
自分にとっての理想の台詞は、話されていることが必ずしもその人にとって本音とは限らないし、例え当人が本音と思っていても本音がどこにあるかなんて誰にも当人にさえも分かるものではない、という匙加減で書きたいと思っています。

 
JVTA 脚本を書かれている際に、日本だけでなく、海外の観客のことも意識されているのでしょうか?

 
深田晃司監督  脚本を書くときには基本的に海外の観客のことを意識はしていません。もちろん、観客がどういう風に受け取るだろうか、とは意識していますが、国籍は意識していません。

 
ただ例えば『よこがお』のときなど、フランス側のプロデューサーから3人の女性のキャラクター名が「イチコ」「モトコ」「ミチコ」というのが分かりづらい、と指摘されたり、日本的なボディランゲージがまったく伝わらない、などの経験したことはあります。

『よこがお』予告編

 
また、インドネシアを舞台にした『海を駆ける』の脚本を書いたとき、私が書いた日本語の脚本をインドネシア語に訳した際、あるキャラクターを動物に例えて表現する台詞があったのですが、インドネシアでは人を動物に例えることは普通しない、とインドネシア側のプロデューサーから指摘され書き直したことがありました。

『海を駆ける』予告編

 
JVTA 深田監督は2019年「東京ろう映画祭」で映画教養連続講座に登壇されていました。当校でもこの映画祭に協力しており、バリアフリー字幕や音声ガイドを作成するスキルを学ぶ講座を開講しています。映像のバリアフリー化に関して、作り手の目線で大切にしてほしいポイントや今後のご希望などがあれば、ぜひ教えてください。

 
深田晃司監督 蔭山歩美さんたちが意識してくださっていたようなこと、作り手の意図を汲みとりつつ制作して頂ければ嬉しいです。映画は作り手と観客との想像力の綱引きだと思っていて、何を伝えて何を伝えないか、余白を作ることで鑑賞者の想像力を引き出すみたいなことをしています。どこまで伝えるか、どこは伝えないべきか、ぜひ観客との想像力の交歓を楽しみながら作って頂ければと思います。

 
JVTA 『本気のしるし《劇場版》』をご覧になる皆さんへ、メッセージをお願いいたします。

 
深田晃司監督 『本気のしるし』は20歳のときに原作漫画を読んでから19年間、映像化を夢見ていた作品です。それが、これほどのキャスト、スタッフに恵まれてお届けできることになった自分は果報者だと思っています。ぜひ、素晴らしい俳優たちに会いにきて下さい。4時間ありますが、見てくださった方は口を揃えて「あっという間だった」と言って下さっています。どうぞ安心して見に来てください。
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『本気のしるし《劇場版》』より ©星里もちる・小学館/メ~テレ

 
『本気のしるし《劇場版》』
2021年月1月16日から シアター・イメージフォーラムで再上映
公式サイトhttps://www.nagoyatv.com/honki/

 
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