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国連UNHCR協会×JVTA 翻訳者だからできる難民支援のカタチ「UNHCR WILL2LIVE Cinema 2021 募金つきオンラインシアター」がスタート

国連UNHCR協会×JVTA 翻訳者だからできる難民支援のカタチ「UNHCR WILL2LIVE Cinema 2021 募金つきオンラインシアター」がスタート
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10月1日(金)、難民をテーマとした映画を集めた「UNHCR WILL2LIVE Cinema 2021 募金つきオンラインシアター」がスタート。今年は日本初公開のドキュメンタリー5作品がオンラインで配信される。映画を通じて難民問題への関心を高めるこの取り組みではこれまで、世界各地から集められた約240作品を上映し、10万人以上が参加したという。JVTAはその趣旨に賛同し、2008年から字幕制作でサポートしており、10年以上にわたり、多くの修了生が協力してきた。今年も3本の作品の日本語字幕を27名の修了生が手がけている。映画は、難民問題を数字やニュースで見るだけでなく、一人ひとりの物語を伝えられるツールであり、多くの人にその現状を知ってもらうきっかけとして大きな役割を担っているのだ。
 

今年JVTAが字幕を担当した『祖国を追われる人々、ロヒンギャ』と『さまよえる魂の声 ~ あるロヒンギャの物語』の2作品はロヒンギャにフォーカスしている。彼らは主にミャンマー西部のラカイン州に暮らすイスラム系少数民族で、深刻な迫害を受けてきた。2017年8月に起きた激しい暴力行為により、約80万人の人々が隣国バングラデシュに命がけで避難した。『さまよえる魂の声 ~ あるロヒンギャの物語』には、その壮絶な実態が収められている。一方、『祖国を追われる人々、ロヒンギャ』では、虐殺の首謀者である過激な仏教徒と、虐殺を生き延びた生存者の証言を聞くことができる。
 

『さまよえる魂の声 ~ あるロヒンギャの物語』(原題:Wandering, A Rohingya Story)
翻訳チーム:中村 早希さん、森脇 友梨さん、木戸 美和さん、山口 絵美さん、松本 人美さん、浅野 泰弘さん、住佐 春佳さん、莊埜リオナさん、グリーン なおみさん)

さまよえる魂の声 ~ あるロヒンギャの物語
 

翻訳チームのリーダー、中村 早希さんは、JVTA在学中からこの映画祭に参加することを1つの目標としていた。難民支援にはさまざまな形があるが、「翻訳者だからこそできる支援」をしてみたいと思ったからだという。プロデビューを果たした今、チームでの話し合いや相互チェックを通して翻訳のブラッシュアップを重ねた。
 

「特に悩んだのは口調でした。この作品には年齢も性別もバラバラのロヒンギャの人々が登場します。セリフこそ少ないものの、国を追われ、家族を失った彼らの悲痛な心の叫びをどう字幕で伝えるのか、とても悩みました。話し合いとリライトを繰り返し、最終的には『だ・である調』で統一。力強い字幕を意識して作ったので、そのあたりにもぜひ注目していただきたいです。また、見た目にもこだわりました。読みやすさはもちろんですが、例えば『みんな』と『皆』では見た目の印象が異なります。ひらがなにすれば柔らかい印象になりますが、漢字にすれば力強い印象になるので、話者の話し方や雰囲気などから、何がベストなのかを考え言葉選びをしました。」(中村 早希さん)
 

中村さんにとって、ロヒンギャ難民は遠い存在だったが、この翻訳を通して、身近に感じられるようになり、自分にできることは何だろうと考えるきっかけになったという。
 

「彼らがどんな場所で、どんな暮らしをしているのか。ニュースでは衝撃的な映像が多く流れますが、本作ではロヒンギャの人々の日常生活を垣間見ることができます。映画祭を通じて難民の現状を知り、難民について考えることも支援につながると思います。本作を多くの方に見ていただき、何かを感じとっていただければうれしいです」(中村早希さん)
 

『祖国を追われる人々、ロヒンギャ』(原題:EXILED:THE ROHINGYAS )
翻訳チーム:近藤 希実さん、山田 由依さん、甲斐 紘子さん、東庄 天音さん、芝﨑 佐和子さん、大川 三保さん、湯浅 育子さん、音上 明子さん

 
祖国を追われる人々、ロヒンギャ
 

JVTAの翻訳の授業で、ロヒンギャの子どもたちのドキュメンタリーに触れて以来、ずっと心に引っかかっていたと話すのは、翻訳チームリーダーの近藤 希実さんだ。今回、この作品を担当すると決まった際、当時見た映像の子どもたちの顔を思い出し、身が引き締まる思いだったという。
 

「スマートフォンが爆発的に普及した時期に起きたロヒンギャ難民問題は、『現地で何が起きたか』を被害者自身が大量に発信した人道危機だと思います。本作にはロヒンギャの人々が記録したショッキングな映像も含まれていて、初めて見た時、私は言葉を失ってしまいました。ロヒンギャ問題は根が深く、ミャンマーの政治情勢が混迷する中、どう解決できるのか途方に暮れそうになります。でも、しんどくても関心を持ち続けること、考え続けることが希望につながると信じています」(近藤 希実さん)
 

この現状を日本に伝えるために、翻訳チーム全員が、参考資料として複数の書籍を読んだりドキュメンタリーを見たりして翻訳に臨んだ。また、多くの人のインタビューが収められているのもこの作品の特徴だ。さまざまな視点から言葉の選び方について何度も話し合ったという。
 

「人物の宗教的、政治的背景によって、同じ出来事の話をしても“語り口”が異なります。それぞれの立場の違いを考慮して、口調や言葉を選びました。また、ミャンマーかビルマか、ロヒンギャを『少数民族』とするかどうかなど、ミャンマーの複雑な歴史を踏まえて、一つひとつの単語の使い方に気を配りました。ミャンマー人の名前の表記についてもチーム内でかなり議論しました。単純に大手メディアの例に倣うのではなく、読みやすさや現地の名前の使い方などを話し合いました」(近藤 希実さん)
 

『カオスの行方 ~ 安住の地を求めて』(原題:It will be chaos)
翻訳チーム:加々美 ヘナタさん、志村 紀恵さん、戸田 梨恵さん、赤井 雅美さん、糸賀 恵美さん、谷山 祐子さん、都田 紀子さん、立川 陽子さん、シャー 順子さん、ドンダラ市原 由加里さん

 

カオスの行方 ~ 安住の地を求めて

この作品では、シリア難民、エリトリア難民が地中海を渡ってヨーロッパへ逃れていく姿を追っている。そこには、簡素なボートで海を越える間に命を落とす人も多い現実があるのだ。翻訳チームのリーダー、加々美 ヘナタさんは、「何かの映画祭に翻訳者として関わりたい」と以前から考えていたという。このチームでも話し合ったのが、登場人物の口調だ。字幕において口調は人物のキャラクターを決定づける重要なポイントになる。
 

「特に気をつけたのは、口調と訳語の選び方です。ドキュメンタリー作品では『ですます』口調が使われることが多いですが、本作品では難民の切実な思いをリアルに伝えられる、という理由からチームで話し合い『だ・である』調に統一。また、作品内で何度か登場する単語の訳語は統一する、というのが翻訳の基本的なルールですが、本作品では、様々な状況に置かれた難民が登場します。例えば難民の密航・密入国を手助けする“smuggler”や“broker”を『密航業者』『密入国業者』『ブローカー』のどれかに統一すべきでは? との意見も出たのですが、シーンによって状況も話者も異なります。同じ単語でも訳語を無理に統一せず、各パートの翻訳者が責任を持ってそのシーンに合う訳語を選びましょう、と決めました。」(加々美 ヘナタさん)
 

米軍がアフガニスタンから撤退し、武装勢力タリバンが権力を掌握する今、ニュースでも現地の様子を目にする機会が増えている。現在、劇場公開中の『ミッドナイト・トラベラー』は、2019年の同映画祭上映作品で、アフガニスタンから逃れる家族が自らスマートフォンでその足跡を追ったドキュメンタリーだ。この映画祭ではこうした難民のリアルな姿を映し出す作品が多い。
 

「本作品では、故郷を離れヨーロッパの遠い目的地へ命がけで向かう難民の大変さだけではなく、難民を受け入れる側の苦悩も描かれています。タイトルにもあるとおり、難民を取り巻く状況はまさに『カオス』。私たちにできる支援は、まずは現状を知ることだと思うので、ぜひ一人でも多くの方に見ていただきたいです」(加々美 ヘナタさん)
 

※その他の上映作品
『シリア・ドリーム ~ サッカーにかけた未来』(原題:CAPTAINS OF ZAATARI)
シリア・ドリーム ~ サッカーにかけた未来

『シャドー・ゲーム 〜 生死をかけた挑戦』(原題:SHADOW GAME)
シャドー・ゲーム 〜 生死をかけた挑戦
 

オンラインでの配信はコロナ禍になった昨年から始まった新しい試みだ。これまで、各会場で無料上映を行ってきたが、募金付き配信上映を開始。昨年は1000人を超える人が視聴し、その多くが募金をしたという。これまでは上映会場に足を運べなかった遠方の人や子育て中の女性からも大きな反響があった。自宅で映画を見て難民問題を知る。まずはここから支援の輪を広げていきたい。
 

W2LCinema2021_たて

「UNHCR WILL2LIVE Cinema 2021 募金つきオンラインシアター 」
2021年10月1日より開催! 日本初公開の5作品が期間中見放題!
申し込み期間:2021年9月27日(月)~11月11日(木)

開催日時:2021年10月1日(金)~2021年11月14日(日)
料金:下記いずれかの料金を選択。匿名募金は、難民問題の啓発活動に役立てられる。
2,000 円(視聴料2,000 円)
3,000 円(視聴料2,000 円、難民のための匿名募金1,000 円)
5,000 円(視聴料2,000 円、難民のための匿名募金3,000 円)
詳細・お申込みは公式サイトへ
https://unhcr.will2live.jp/cinema2021/
「UNHCR WILL2LIVE ムーブメント」
https://unhcr.will2live.jp/
 

【関連記事】
◆アフガニスタンから逃れた家族の旅路『ミッドナイト・トラベラー』が劇場公開
https://www.jvta.net/tyo/midnight-traveler/
◆故郷を追われた人を守り続けて70年 UNHCRの活動をJVTAはサポートしています
https://www.jvta.net/mtc/who-we-are-unhcr70/
◆【『戦火のランナー』が劇場公開】翻訳者だからできる社会貢献のカタチ
https://www.jvta.net/tyo/runner/
◆Tipping Point Returns Vol.10 追悼 緒方貞子さん ~難民支援と映像翻訳~
https://www.jvta.net/blog/tipping-point/returns10/
 
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◆【2021年10月期は10月11日の週から開講】入学は10月18日の週まで受け付けます。
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英日・日英 10/10(日)、10/17(日)
英日のみ  10/9(土)
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※詳細・お申し込みは▶こちら
 

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