【イベントレポート】「JVTAで長く続く繋がりを築いてほしい」2023年10月期ウェルカムパーティーをリモート開催!
日本映像翻訳アカデミー(JVTA)は毎期、新しく映像翻訳を学び始めた方を迎えたウェルカムパーティーを開催している。 2023年10月期のウェルカムパーティーには「英日映像翻訳総合コース・Ⅰ」「日英映像翻訳総合コース」、バリアフリー字幕や音声ガイド制作のスキルを学ぶ「バリアフリー講座 音声ガイドディスクライバー養成講座」、そして英文解釈力の向上を目指す「イングリッシュ・クロック ロジカルリーディング力強化コース」 の受講生・スタッフ合わせて約70名が参加。日本各地や海外からの参加者、お子さんの隣で参加している方など、リモートならではのバックグラウンドを感じるパーティーとなった。
パーティーの司会はスクールスタッフが担当。
パーティー冒頭、JVTAの新楽代表は次のように語った。 「JVTAの中で、私(新楽)を含め約2名はある理由で仲間外れです。その理由は、『JVTAの修了生ではないということ』です。実はJVTAのスタッフはほとんどが修了生。だから受講生にとても近い存在で、学習する上での悩みや苦しみもよく分かります。今日のパーティーを通して、JVTAの先輩でもあるスタッフや講師のことを知り、そしてクラスメートのことも知ってください。」 ちょうど前週に開催され、JVTAもセミナー登壇等で出席した第32回JTF翻訳祭では、会場内で10年や15年前のJVTA修了生と再会したそう。JVTAで学んだという繋がりが長く続いているエピソードだ。新楽は「今日のパーティーを、JVTAで繋がりを作る第一歩にしてください」と、あいさつを締めくくった。 乾杯の音頭は翻訳事業推進部リーダーで、英日映像翻訳を教える藤田奈緒講師が担当。新楽の挨拶を受け、「クラスメートだけでなく、ぜひ違うクラスの受講生や他のコースの受講生とも交流してください」との言葉と共にグラスを掲げた。 ウェルカムパーティーは受講生同士や講師・スタッフとの交流がメイン。そのためブレイクアウトルームに分かれて少人数で交流する時間が多く用意されている。中でもメインとなるのは、チーム対抗のアクティビティだ。今回のアクティビティは、春のウェルカムパーティーで好評だった「映画のポスター当てクイズ」。一部が隠された映画ポスターを見て、作品名を当てるクイズだ。洋画の場合は原題でも邦題でもOK。問題となる作品は近年のヒット作からクラシック映画の名作まで幅広い。参加者はチームに分かれ、協力してそれぞれの作品名を考えた。 受講生は映画好きな人が多く、ポスターを見れば「あの映画だ!」とピンとくる。しかしこのクイズでは「表記」まで正しく入力しなければならない。これは“翻訳者あるある”だ。「『The』をつけるかつけないか」「漢字かひらがなか」で迷うこともあれば、「作品名は『カメラを止めるな』のはずだが、『!』がつくかどうかが分からない」と、記号で悩むグループも。また、クラシック映画の問題について頭を悩ます人も多かった。制限時間の半分で回答を埋めたグループもあれば、「とりあえず思いつく作品名を書いておこう」「分からないから作っちゃおう」など、時間切れまでに空欄を埋めることを優先したグループもあり、グループごとに個性ができあがっていた。 そしていよいよ正解発表タイム。答えが表示されるたび、画面上で一喜一憂する表情が見られた。司会者は回答と共に、各作品にまつわる豆知識や補足情報を披露。また新楽代表が「出題された作品の一つであった『カメラを止めるな!』の英語字幕を手掛けたのはJVTA修了生です」と補足した。 関連記事:『カメラを止めるな!』が世界で大ブレイク!「ちょっとはちょっとだ」の英語字幕って?! アクティビティ後は再度グループに分かれての歓談タイムへ。「もっとよく考えれば答えが出たはずだった!」「記号が合っていて良かった」など、結果発表について盛り上がる。アクティビティを通してぐっと距離が近くなった様子だった。やがて話題はクイズ以外にも広がり、最近見た映画の話やハマっているものの話、英語・日本語以外の言語に関する話をしているグループも。各グループにはJVTAのスタッフや講師が参加しているため、修了後のトライアルに関する質問や授業以外でやっておいた方がいいことを相談したり、JVTAがバリアフリー字幕を手掛けた作品について話したりとさまざまだ。パーティー終了後のアンケートでは「クラスメートのことをもっと知ることができた」「普段話す機会の少ない講師やスタッフの方と話ができて良かった」などの声が寄せられた。 最後の挨拶は、翻訳室チーフディレクターであり、英日・日英映像翻訳の両方で指導する石井清猛講師がおこなった。石井講師は最近印象に残ったニュースとして、日本語の副音声がついたアメリカ映画や韓国ドラマが配信されたことを紹介。副音声は原語のみであることが一般的だが、最近はAIの活用によって外国語の副音声が作られるケースが出てきたという。「AIによって人間に仕事が奪われるという話をよく聞くが、逆にAIとの融合で新しく人間の仕事が生まれるという例もある。翻訳も同様で、AIがおこなう部分もあるだろうが、人間がやるべき仕事も同時に増えていくはず」と語り、映像翻訳の仕事の領域も、受講生の皆さんの将来的な仕事の可能性も広がっていくはずだと締めくくった。
★参加者みんなで記念撮影★
アクティビティ中はクラスメートごとのグループだったが、終了後はクラスの異なる参加者が1つのグループになり歓談タイムが設けられ、ほとんどの参加者が残って交流を楽しんでいた。毎週顔を合わせるクラスメート以外のJVTA生と交流できる貴重な機会。新楽が冒頭あいさつで語った「JVTAでの繋がり」が、パーティーを通してどんどん拡がっていくようだった。今後学習を続けていく上で大きな助けになっていくだろう。
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【2024年1月 英日映像翻訳 日曜集中クラス開講!】ご興味をお持ちの方は「英日リモート・オープンスクール」にご参加ください!12/17、1/7に開催!
【2024年1月期 日曜集中クラス(英日)の受講生を募集中!】 字幕、吹き替え、多様なジャンルを学べるJVTAで 映像翻訳のプロを目指す!
英日映像翻訳 総合コース・Ⅰ 日曜集中クラス 開講時期:1月14日(日)~3月3日(日) 1時間目:10:30~12:50、2時間目: 14:00~16:20 ※受講後、2023年4月期の英日映像翻訳 総合コース・Ⅱへの進級が可能です。
日本映像翻訳アカデミー(JVTA)は、字幕・吹き替えの翻訳者として活躍するために必要なスキルを学ぶ職業訓練校です。英語から日本語へ翻訳する英日映像翻訳 と日本語から英語へ翻訳する日英映像翻訳 があり、目的に合わせたコースを選んでいただくことができます。コース修了後、当校独自のトライアル(プロ化試験)に合格すれば、併設する翻訳受発注部門よりお仕事を紹介させていただくので、学んだスキルを実践で生かしていただくことができます。プロとして活躍できるスキルを身につけるチャンスです。 この度、2023年10月期へのご入学が叶わなかった方々のため、2024年1月に英日映像翻訳 総合コース・Ⅰの日曜集中クラスを開講 することを決定しました。本コースを受講した後、2024年4月からの英日映像翻訳 総合コース・Ⅱへの進級が可能となります。 ご興味をお待ちの方は、JVTAが主催する無料イベント「リモート・オープンスクール」 にご参加ください。当日は業界ガイド、字幕体験レッスン、スクール説明 を実施。映像翻訳の世界を深く知っていただくことができます。
また、2023年10月期からは従来の手法に 加えてMT(機械翻訳)やAIエンジンを取り入れて活かすための最新技法を学べる授業 が導入されました。こちらもオープンスクール内の「スクール説明」にてご案内します。
※英日映像翻訳 総合コース・Ⅰの週1回クラス、日英映像翻訳コースは2024年4月の開講予定です。【こんな方はぜひご参加ください】 ・映像翻訳に興味がある ・語学力を生かせる仕事に就きたい ・好きな映画や海外ドラマに関わる仕事に就きたい ・プロの映像翻訳者を目指したい ・フリーランスとして活躍したい ・手に職をつけたい ・映像翻訳の需要に関して知りたい ・字幕翻訳にチャレンジしてみたい
英日映像翻訳 総合コース・Ⅰ(コースの詳細▶こちら ) その他、コースや入学に関するよくあるご質問は▶こちら 会社概要▶こちら
◆ジャパンタイムズの「通訳・翻訳キャリアガイド」のサイト
藤田奈緒講師と修了生の星加菜保子さんのインタビューが掲載
▶こちら
映像翻訳のすべてが分かる!
オープンスクール 詳細
【日程】 ※すべて日本時間 2023年11月26日(日) 9:00~12:05 ※終了しました 2023年12月17日(日) 9:00~12:05 2024年1月7日(日) 9:00~12:05 本ページ下部の「申し込みフォーム」よりお申し込みください。 ※上記日程が難しい方は、リモートでの個別相談を承っております。詳細は下記よりご確認ください。
▼当日のタイムスケジュール
※映像翻訳のプロとして仕事をする際の目安となる英語力については▶こちら
※タイムスケジュールは変更になることがございます。
【参加条件】 英語力・翻訳経験不問 ※パソコンやタブレットなどで安定して動画配信サービスなどを視聴できる環境が整っていれば、どなたでも無料でご参加いただけます。
【参加形式】 リモートのみ(Zoom ) ※音声を聞き取りやすくするために、イヤホン・ヘッドホンの使用をお勧めします。また質疑応答のタイミングもありますので、マイクをお持ちでしたらご用意ください。 ※お申し込みの自動返信メールにZoomのURLが記載されています。
【動画で解説!】現役受講生が答える!受講にまつわる5つの質問
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【お問い合わせ】 電話 03-3517-5002▶総合問い合わせフォーム
【ご予約】 ご予約は、以下のフォーム に記入して送信ボタンを押してください。送信後、ご入力いただいたメールアドレス宛に自動返信メールが届きます。必ずお読みください。 尚、このページで入力いただいた内容はSSLで暗号化されて送信されます。
JVTAは情報セキュリティの国際規格「ISO/IEC 27001:2013」を取得しています。詳しくはこちら SSL対応ページからの情報送信は暗号化により保護されます。
【オープンスクールに参加できない方はこちら】
◆月曜・水曜・金曜に開催! ▶「英日字幕体験レッスン」 ▶「日英字幕体験レッスン」 ◆オープンスクールへの参加が難しい方は、「リモート個別相談」にお申込みください。 お申し込みは▶こちらから ◆映像翻訳を動画でもっと詳しく知る!興味を持ったら必ずチェック JVTAのYouTubeチャンネルおすすめ動画集 ▶こちらから
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おすすめ記事・動画 ●【サマスク2022レポート】フリーランス・ブーム到来 「選ばれる職業人」であるために ●【サマスク2022レポート】AIも遠く及ばない “言葉のプロ”の技と業(わざ) ●動画!【字幕翻訳実況】みんなで字幕翻訳実況【Zoom参加者と一緒に考えてみた】#10 ●動画!「現役受講生に聞いた!Why JVTA?」
【2023年サマースクールレポート】多彩なラインナップで開催したセミナーのレポートを公開!
JVTAでは受講生や修了生、映像翻訳に興味がある人、エンタメ業界に興味がある人に向け、様々なイベントを開催している。2020年夏から開催している「サマースクール」は、人気イベントのひとつだ。
2023年のサマースクールは「‘ことばの仕事’の今とこれからがわかる特別講座シリーズ! 」と題し、メディアの炎上例から考える日本語表現、AI翻訳の最新情報、映像翻訳とも親和性のあるゲーム翻訳の深掘り、フリーランスとしての働き方を考えるセミナーなどを開催。映像翻訳スキルを磨くものからキャリアの幅を広げるものまで、JVTAならではの多種多様なラインナップに延べ約1900名の申し込みが集まった。
ここではサマースクール2023で開催したセミナーの取材記事を紹介する。(青字のタイトル をクリック)
★サマースクール2023のラインナップ詳細はコチラ
◆2023年7月31日(月)開催 劇場公開作品も手掛ける翻訳者とクイズで学ぶ!吹き替えの常識から裏話まで深堀り
【サマスク2023レポート】 劇場公開作品を手掛ける吹き替え翻訳者が語る裏話「吹き替え翻訳者になるために取り組んだ●●と●●」
◆2023年8月7日(月)開催 「Anime Expo 2023 in LA 現地レポート」~日本のアニメは北米でどのように愛されているのか?〜
【サマスク2023レポート】「Anime Expo 2023 in LA 現地レポート」~日本のアニメは北米でどのように愛されているのか?〜
◆2023年8月11日(金)開催 「世界的名作アリスの翻訳者小松原宏子氏に聞く!“分かりやすい言葉”を編み出すコツ」
【サマスク2023レポート】易しい言葉を選ぶことが、読者への優しさにつながる
◆2023年8月14日(月)開催 みんなで字幕翻訳実況 ※YouTube生配信 アーカイブをこちら よりご覧いただけます。
◆2023年8月19日(土)開催 映像翻訳とAIについて知っておきたい100のこと
【サマスク2023レポート】機械翻訳を考えるにあたっての「大きな分かれ目」とは
◆2023年8月25日(金)開催 日本語の訳文が出来上がるまで~翻訳者は英文から何を感じ取るのか~
【サマスク2023レポート】 プロの翻訳者は英文のどこを見て、何から考えるのか
◆2023年8月28日(月)開催 【JVTA+】吹き替え翻訳チーム対抗戦!プロのガチバトルを生配信 ※YouTube生配信 アーカイブをこちら よりご覧いただけます。◆2023年8月30日(水)開催 フリーランスの新・常識 2023 夏~「選ばれるプロ」だけが始めていること、教えます
【サマスク2023レポート】 フリーランスの新・常識 2023 夏~「選ばれるプロ」だけが始めていることとは?
◆2023年9月6日(水)開催 言いたいことは6つの文章で伝わる 超!実践的・英語セールスピッチワークショップ
【サマスク2023レポート】聞き手を引き付けるなら、ストーリーと6つの文章
◆2023年9月7日(木)開催 日英ゲーム翻訳者に聞く!Part 2 ~あのキャラ名、技名、どう訳す?
【サマスク2023レポート】 “言葉で遊ぶ”プロの技 ~ゲーム翻訳の裏側に迫る~
JVTAでは今後の様々なセミナー・イベントを開催していきます。次回をお楽しみに!
◆【英日映像翻訳 日曜集中コース 1月開講!】 まずは 無料のリモート・オープンスクールへ
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◆【映像翻訳をエンタメのロサンゼルスで学びたい方】 ロサンゼルス校のマネージャーによる「リモート留学相談会」
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【サマスク2023レポート】聞き手を引き付けるなら、ストーリーと6つの文章
「聞き手に自分の提案がうまく伝わっていない」と感じたことはないだろうか? 特にビジネスの場では、伝え方が商談を成立させるための重要な要素となる。それだけに、今ビジネスの場面では人を引き付ける話し方を身につけることは重要だ。そして、昨今ではインバウンドの需要も高まり、英語でメッセージを効果的に伝えるスキルが幅広い分野で求められている。
2023年9月6日(水)、JVTAのサマースクールにて「言いたいことは6つの文章で伝わる 超!実践的・英語セールスピッチワークショップ」が開催された。多くの企業や団体でも指導しているJVTAのビル・ライリー講師と浅川奈美講師は「ストーリー」と「6つの文章」がポイントだと言う。
ワークショップでは、数あるピッチの方法の中から「ストーリーテリング」を紹介。メッセージを物語のように伝える手法だ。例えば、ビジネスに数字は必須だが、数字を並べるだけでは聞き手に魅力は伝わらない。数字をストーリーにのせることで、より説得力のあるメッセージになるのだ。さらにそのストーリーを6つの文章に分けて構成すると簡単にまとめることができる。
特に最初の文章は「Attention Grabber」と呼ばれており、聞き手との共通点を作ったり、聞き手を引き込んだりする必要がある。例えば「明日世界が終わるとしたら?」や「もし一カ月休暇がもらえるとしたら?」といったもので、聞き手が自分事に感じる工夫を織り込むことがポイントだ。
その解説を踏まえた上で、参加者はグループに分かれ、6つの文章に当てはめてストーリーを作った。グループごとの発表では、言葉あそびを交えるなど多種多様なピッチが見られた。「ボーイフレンドの前で~」という表現を使ったチームに、ビル講師は「性を特定するような表現は避けた方がベター」とアドバイス。2023年7月に行われたセミナー「ジェンダー、人種、ルッキズ…メディアの炎上例から考える“いま私たちが気をつけるべき日本語表現” 」に通ずるものがあった。
進行を務めた浅川講師は次のように語る。
「スピーチというのは、思いがあればあるほど長くなってしまいがちです。しかし、自分の言いたいことではなく、相手の聞きたいことを言うことも重要です」
ネイティブの言語でも人を引き付けることは難しい。まして、外国語で伝えるとなると尚更苦手意識を感じる人が多い。しかし、今回のワークショップで学んだ6つのフレームに当てはめることで、短くて分かりやすいストーリーを生み出すことができることが分かる。ネイティブの言語でもそれ以外でも、プライベートでもビジネスでも、ぜひ活用してほしい。きっと聞き手の反応も変わるはずだ。
【BMSTについて】 ●本セミナーで取り上げたセールスピッチ以外にもビジネスパーソンにとって必須のスキルはまだまだあります。JVTA主催の「ブランド&マーケティング・ストラテジスト養成コース 」(BMST)では、世界に通用するセールスに必要なブランディングやマーケティングのスキルをより深く学びます。海外展開を目指す企業や団体、フリーランスの方にとって実践的な内容となっています。無料セミナーも開催しているので、興味のある方はぜひ参加してください。
◆【9月26日(火)開催】BMST無料セミナーは▶ こちら
◆BMSTコースのエントリーが10月、11月に2回開講。受講生を募集中。詳細は▶ こちら
【サマスク2023レポート】“言葉で遊ぶ”プロの技 ~ゲーム翻訳の裏側に迫る~
2022年、ゲームメディアが主催する「The Game Award」で、日本のRPGゲームが最優秀作品にあたる「Game of the Year (GOTY)」を受賞した。海外メーカーに後れを取った時代もあったが、日本製ゲームは再び人気を取り戻しつつある。そしてこうした評価と実績は、日英ゲーム翻訳者の需要も高めている。
2023年9月、JVTAはサマースクールセミナーとして「日英ゲーム翻訳者に聞く!Part2~あのキャラ名、技名、どう訳す?~」を開催した。2月に好評を博したセミナーに続き、今回も日英ゲーム翻訳者であるデビン・ニール氏が登壇。同氏が使用しているソフトウェア「memoQ」の画面を共有し、参加者に仕事の様子を実践してみせた。
ゲーム翻訳におけるポイントの1つが、固有名詞の訳出だ。字数制限など翻訳ルールのもと、ストーリーや世界観にマッチした英訳を付ける。その一例が、あるゲームに登場する「ポム」というキャラクターだ。英語版もそのまま“Pomme”とできるが、シンプルな名詞こそプロのこだわりが光る。ニール氏の翻訳チームは「ポム」の役柄に注目し、「登場人物たちを見守るおばあさん」「Pommeはフランス語でリンゴの意味」という観点から「Granny Smith 」と名付けた。ただ訳すのではなく遊び心のあるひと工夫に、参加者たちも関心を寄せた。
ゲーム翻訳では、10~20名の大きなチームで翻訳を進める。原語のニュアンスをどう英訳に反映するか、もしくはあえて原語をそのまま使うのかなど議論していくが、良い作品に仕上げる極意についてニール氏はこう語った。
「最終的に重要なのは、開発者とファンが喜ぶようなゲームに仕上げることです。双方の気持ちを理解するという意味でも、翻訳者自身が日ごろからゲームに親しみ、知識を蓄えておくことも仕事のひとつです」
日本製ゲームは、その綿密な特徴から「職人的」とも言われている。ストーリーやキャラクターに込められた職人技が海外で評価される背景には、言葉とゲームに精通した翻訳者の巧みな技があった。
(By Yukiko Takata)
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【サマスク2023レポート】 バリアフリー音声ガイド 映像を言葉にして音声で伝えるために大切なこととは?
映像作品を観る時、「バリアフリー音声ガイド」というツールを利用したことがあるだろうか? 音声ガイドは、見えない、見えづらい人も同じように映像作品を楽しむためのツールであり、コンテンツの内容を届ける役割がある。映像の視覚的な情報を言葉で補足し、セリフや音は聴かせながら、合間に情景描写や人物の動きや表情などを言葉で説明するガイドを入れていく。一般的には、「AD(オーディオディスクリプション)」「解説放送」「副音声」などと表記されている。
JVTAでは恒例のサマースクールで、「バリアフリー音声ガイド制作の裏側~映像を言葉で伝えるとはどういうことなのか?~」と題したセミナーを開催し、約80名が参加した。ゲストは当校のバリアフリー講座修了生の福田江美子さんと水野友美さん。どちらも子どもの時からテレビを見ることが大好きだったことが、学びのきっかけだという。福田さんは、映画・ドラマ・アニメ等さまざまなジャンルの音声ガイドを手がけている。水野さんは、その制作過程で弱視当事者の立場でより伝わりやすい表現について意見を伝えるというサポートをしている。ぼんやり薄い膜が目の前にあるような見え方で、テレビを目で観るためには画面に鼻がくっつくほど近づく必要があるという水野さん。映像が見えづらい時は、今映像がどうなっているかを家族に聞くが、なぜみんなが笑っているのか分からない時もあり、不便を感じると話す。音声ガイドはこうした時に映像を深く理解する助けになるのだという。
「バリアフリー音声ガイド」を作ってみよう 限られた尺で解説すべきポイントは何か?
セミナー内では、短編アニメ『スキヤキフォース』の一部に実際に音声ガイドをつけてみる体験を行った。スキヤキに入っている具材が戦隊ヒーローとなるユニークな作品だ。ガイドを付けるポイントは、同じ「スキヤキピンク」と名乗る、しらたきと春菊の描写の仕方だ。画で見たら分かる姿の違いを音声でどう伝えるのか、具体的に参加者からのコメントを募ったところ、いくつものアイデアが寄せられた。福田さん、水野さんにいくつか選んでもらい、良いと思ったポイントを聞いてみた。
『スキヤキフォース』番組宣伝ムービー / SUKIYAKI FORCE Teaser MovieVIDEO
きみどり色のまとめ髪 春菊 クリーム色のふわふわロング しらたき 「ビジュアルで髪型にフォーカスしたのは新鮮でした。なかでも“まとめ髪”が分かりやすかった。フワフワロングもぱっと頭にイメージが浮かびました。」(水野さん)
濃いピンクの服 髪が春菊 薄ピンクの服 髪がしらたき 「リズミカルで簡潔に特徴を伝えていていいなと思いました。」(福田さん)
※福田さんがつけた作例鮮やかピンク、春菊。 桃色、しらたき。
「このシーンでは、記者が、『女子2人で2人ともピンク?』と疑問を投げかけているので、どういうピンクの違いがあるのかをガイドするのがいいという結論になりました。そこで春菊は『濃いピンク』、しらたきは『桃色』に。これも『パステルピンク』などの案も出ましたが『桃色』が尺もコンパクトでしらたきのかわいらしさも出るのではということで、決まりました。」(福田さん)
一度聞いただけですぐに映像をイメージできるガイドを作るのは想像以上に難しい 映像翻訳と同じように音声ガイドにも正解がない。どの情報をどんな言葉でガイドするかは、ディスクライバーのセンスが光る部分でもある。今回もこの短いシーンに対しても複数の意見が寄せられた。一度聞いただけですぐに映像をイメージできるガイドを作るのは想像以上に難しい。短い尺の中でセリフや音の情報の邪魔をすることなく、コンパクトにまとめなければならない。さらにガイドを利用する人達のニーズもさまざまだ。全盲、弱視、中途失明などそれぞれ見え方や知識が違う人たちにとって何が一番分かりやすく伝わるのか? 音声ガイドの作り手は、情報の取捨選択や言葉の選び方など伝えたい相手に寄り添いながら、最適なガイドを考え続ける必要がある。参加者は、伝わる原稿を作ることの難しさと面白さの両方を実感できたのではないだろうか。
◆MASC×JVTA バリアフリー講座
字幕ライター養成講座
音声ガイドディスクライバー養成講座
(次期は2023年10月開講)無料説明会を開催
詳細・お申し込みはこちら
https://www.jvta.net/tyo/barrierfree/
【サマスク2023レポート】機械翻訳を考えるにあたっての「大きな分かれ目」とは
ChatGPTの登場によって急激にAIの存在感が増した昨今。将来的な自分の仕事への影響に対して、漠然とした不安を抱く人もいるのではないだろううか。映像翻訳に関しても、「テクノロジーが発展すれば、いずれ映像翻訳者は必要なくなるのでは?」と言う人がいる。 2023年8月、日本映像翻訳アカデミー(JVTA)ではサマースクールの一環として、映像翻訳とAIの現状、そしてその可能性を考える「映像翻訳とAIについて知っておきたい100のこと」を開催。JVTAで映像翻訳を教える石井清猛講師と、JVTAとともに機械翻訳の研究を行い、AI字幕翻訳ツールの開発に携わる国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)の須藤克仁氏が登壇し、機械翻訳(MT)と生成AIの仕組みや活用方法、そして展望について解説した。 映像翻訳を学ぶ人や映像翻訳者として仕事をしている人が最も気になるのは、「ChatGPTを含む機械翻訳の精度が増せば、映像翻訳者の仕事はなくなるのでは」という点だろう。実際に文書翻訳や産業翻訳を中心に、機械翻訳の活用は増加している。須藤氏曰く、「ある程度直訳に近い世界では、機械翻訳の精度はかなり上がっている」という。翻訳のプロでない人がただ訳す場合との比較であれば、機械翻訳の方が平均的にはうまく翻訳できるようになっていると言うのだ。 しかしながら、直訳であれば翻訳としてOKだというわけではない。映像翻訳で言えば、翻訳者はストーリーのある作品を翻訳する際には流れを理解する必要がある。またドラマシリーズなどでは、翻訳する1話だけではなく、シリーズ全体の伏線を知らないと翻訳できない場面も多い。こうした「ひねりのある翻訳」は機械翻訳の弱点であり、人間である翻訳者によるブラッシュアップが不可欠だ。 須藤氏は機械翻訳を考えるにあたり、「人に見せる翻訳か、自分が読むだけの翻訳か」が大きな分かれ目だという。自分が見たり読んだりするだけの翻訳であれば、翻訳内容が間違っていたとしても責任をとるのは自分だ。しかし人に見せる場合は、間違いがないものを納品する必要がある。完成した納品物に対しどれだけの責任を持つか。「仮に機械翻訳が99.99%の精度だとしても、人間の翻訳者は必要だと思います」 と須藤氏は語った。 セミナーでは今話題のChatGPTに関しても話題が広がった。須藤氏はこのChatGPTについて、「ChatGPTを『人間と同じように動くすごいもの』だと思う必要はない。『指示を上手に与えれば、かなりのことをやってくれるもの』と捉えるのがいいだろう」と解説。セミナー後半では、実際に翻訳者をアシストするChatGPTの使用方法も提案された。さらにJVTAとNAISTの共同開発であるAI字幕翻訳ツール「Subit!」に関しても紹介された。 テクノロジーは日々進化している。前述したように、機械翻訳は「平均値」的な言葉を返すことに関しては、かなり精度が上がっているという。しかし映像作品や文学作品の翻訳に求められるのは、「作品への理解」や「言葉の創造性」だ。新しい技術を上手に使いこなしながら、自身の作品解釈力や言葉のセンスを磨き続ける。それこそがこれからの映像翻訳者に必要なことなのだろう。 JVTAではこのようなテクノロジーの進化に合わせ、2023年10月期から機械翻訳やAIを翻訳作業に取り入れ活かすための最新技法をカリキュラムに導入する。今後もJVTAでは、時代に求められる映像翻訳者を育成するための指導を行っていく。
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【サマスク2023レポート】劇場公開作品を手掛ける吹き替え翻訳者が語る裏話「吹き替え翻訳者になるために取り組んだ●●と●●」
日常生活の中で字幕翻訳者のインタビューを目にすることはあるが、吹き替え翻訳の裏側を知る機会は少ない。そんな知られざる吹き替え翻訳の世界を紹介するため、「劇場公開作品も手掛ける翻訳者とクイズで学ぶ!吹き替えの常識から裏話まで深堀り」セミナーが開催された。ゲストにはJVTAの2期生で、現在数多くの劇場公開作品の吹き替え翻訳を手掛ける瀬尾友子氏が登場。吹き替え翻訳の基礎知識から貴重な吹き替え翻訳エピソードまでが紹介され、約190名の参加者が吹き替え翻訳の世界について理解を深めた。
吹き替え翻訳の裏側をクイズで紹介!ベテラン翻訳者ならではのエピソードも セミナーでは初級、中級、上級の3レベルで吹き替えにまつわるクイズが出題。例えば次のようなクイズだ。
「街中や駅などエキストラの話し声や大勢の歓声を【●●】と言う。【●●】に当てはまるものは何か?」
答えは「ガヤ」。吹き替え翻訳者はメインの登場人物のセリフだけでなく、この「ガヤ」についても翻訳をする必要がある。
しかしこの「ガヤ」は、原音のスクリプトが書き起こされてないことがあると瀬尾氏は解説。その場合は吹き替え翻訳者がシーンに合うようなセリフを創作して台本に書くと言い、瀬尾氏は過去に経験した「大変だったガヤ」を紹介した。
それはスポーツベッティングがテーマとなったある作品のワンシーン。メインの登場人物が映っている背後で、スポーツの試合中継が4つのモニターで流されていたという。約1分のシーンだったが、4つ別々の試合が映されていたため、ガヤも4種を創作。約1分のシーンだったにもかかわらず、メインの登場人物の会話+4種のガヤで、結果的に5分相当の翻訳作業が必要になったという。まさに経験豊富な瀬尾氏ならではのエピソードだ。吹き替え作品を見るときには、「ガヤ」にも注意して作品を見たいと思える話だった。
登壇者・瀬尾友子氏の名言「『イメージトレーニングと写経』で吹き替え翻訳者に」 『フェイブルマンズ』や『ボヘミアン・ラプソディ』など、今や多くの劇場公開作品を手がける瀬尾氏だが、映像翻訳を学んだ後の数年間は、なかなか吹き替え翻訳の仕事ができなかった。その際に瀬尾氏がおこなっていたことが、「イメージトレーニングと写経」だったという。
「吹き替えの仕事が全然できなかったころ、『劇場映画のエンドロールに自分の名前が出る』『TVのクレジットに自分の名前が出る』という場面を、ほぼ3年間にわたって毎晩イメージトレーニングしていました」(瀬尾氏)
また、「良い吹き替え」の感覚を身につけるために、吹き替え原稿の書き起こし(写経)もおこなった。さらにはただ吹き替えのセリフを書き起こすのではなく、映画の字幕版を見ながら口の動きや俳優のアクションを見て、「瀬尾バージョンの吹き替え原稿」を勝手に作りあげたそうだ。
「吹き替え翻訳者になる」という強い気持ちと、それを実現するための努力。どちらも大切だということが伝わってくるエピソードだ。
参加者からは、「瀬尾さんの吹き替え翻訳に対する熱い思いがとても刺激になった」「吹き替えに苦手意識があったが、頑張って取り組んでみたいと思った」など、映像翻訳学習へのモチベーションが高まったという声が多かった。
セミナーの最後に「1日でも長く、吹き替えの仕事がしたい」と語った瀬尾氏。その吹き替えへの強い思いは、間違いなく参加者に届いていた。
クイズは他にも「45分尺のドラマの収録時間は?」「吹き替え翻訳者あるあるは?」など、が出題。1問ごとに瀬尾氏の解説や体験談が紹介され、吹き替え翻訳の魅力が伝わる内容だった。
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【JVTA主催】BMSTコース無料セミナー「世界に響く地域ブランドの創造~コンテンツの先駆者が導く、外国人ターゲットの情報発信と戦略~」
日時: 2023年9月26日(火)19:30-21:00 受講料:無料 形式:オンライン(Zoomミーティング)
近年、日本のアニメ映画やドキュメンタリー番組などの人気に伴い「聖地巡礼」を目的に日本を訪れる外国人が急増しています。かつて、ハリウッド映画が全盛期を迎えた頃もロサンゼルスなどでは「ロケ地ツアー」などが人気となりましたが、それと同じ現象が日本でも起きているのです。今年7 月の訪⽇外客数は、2,320,600 人で、コロナ禍に突入する直前の2019 年同月と比較し77.6%まで回復しています。しかし日本にはまだ世界に知られていない魅力的な場所はたくさんあります。訪日客を受け入れる私たちは、ロケツーリズムを活用し、どのように地域の活性化を図ればいいのか?どのような人材が求められているのか?
JVTAでは2022年より世界に通用するブランディングやマーケティングを学ぶ「BMSTコース 」を運営。そのコースを監修する知的財産のスペシャリストの田中康之氏とブランディングのスペシャリストであるBMSTプロデューサー林美千代氏が、インバウンド対策の強化を図る各地方自治地や観光産業の方々が取り組むべき課題や習得すべきスキルに関して解説します。今現場に求められているのは観光資源のコンテクストを理解し、魅力を伝える表現者です。キャリアデザインのヒントを得られる貴重な機会になるはずです。
セミナーでこれが学べる① 田中康之氏の独自の視点 TBSでのコンテンツマネジメントをはじめ豊富な国際ビジネスの経験を生かし、継続的にロケツーリズムに取り組んできた田中康之氏。一般社団法人ロケツーリズム協議会権利処理アドバイザーとしてロケツーリズムがどのようにエンターテインメントビジネスによって地域活性化に寄与するのか、地方創生事業として注目されているのかを地域の成功事例に基づき解説します。
セミナーでこれが学べる② 林美千代プロデューサーのグローバル戦略 ウォルト・ディズニー・ジャパンのコンテンツをはじめ、細田守監督作品『竜とそばかすの姫』など、数多くのコンテンツのグローバルブランディングを手がけたプロフェッショナルとして、世界市場をターゲットにした持続可能なブランディング手法を紹介します。
セミナーでこれが学べる③ 英語での情報発信と外国人観光客の誘致 地域ブランドをグローバルに高めることを目的とした英語での効果的な情報発信の重要性と、外国人観光客を成功裏に誘致するためのブランディング戦略について探ります。
セミナーでこれが学べる④ グローバル人材の育成と未来の可能性 BMSTからコースで学べるスキルについて詳しく説明します。
【当日の流れ】
時間 内容 19:30-20:30 トークセッション: 「地元ブランドでグローバルにインパクトを与える:エンターテインメントビジネスと地域振興の交差点」 ・ロケツーリズムとは何か? ・地域創生のカギを握るブランディング ・英訳では届かない。英語での情報発信には何が必要か 20:30-20:40 「ブランド&マーケティング・ストラテジスト養成コース(BMST)ご案内」 20:40-21:00 質疑応答
【パネリストプロフィール】
田中康之 (一般財団法人日本総合研究所 客員主任研究員、一般社団法人ロケツーリズム協議会権利処理アドバイザー)
海賊と言われた石油会社の出光興産を経て、民法キー局TBSテレビでコンテンツのマルチユース事業に携わり、コンテンツのライツマネジメント業務に従事。その後、グローバル玩具メーカーのエポック社で欧州物流拠点をオランダに設立。現在は、ロケツーリズムによる自治体のSDGs推進評価に基づいた地域経済波及効果の研究に取り組んでいる。ロケツーリズム協議会では、ロケ地写真や映像利用の権利処理のアドバイスを担当。また、BMSTコースの監修も務めている。 AIPE認定 知的財産アナリスト、博士(環境学) 京都精華大学 評議員 事業構想大学院大学 客員准教授
林 美千代 (ブランドプロミス合同会社 代表/BMST共同事業者・プロデューサー)
劇場映画の制作現場から始まり、ソニー・ミュージックエンターテインメント、ウォルト・ディズニー・ジャパン、そしてNBCユニバーサル・エンターテイメントでコンテンツ開発、マーケティング、ブランディングに従事。セサミストリート、ウォレスとグルミット、ディズニー・スティッチ!、ディズニー・ユニベアシティ、ミニオンズ、TED、本田技研工業、ウルトラマン、ゴジラ、スタジオ地図等、担当したブランドやキャラクターは総勢50以上。現在はブランドプロミス合同会社にて、海外/国内ブランドの立ち上げとマーケティング、事業戦略など幅広く手掛ける。著書に『「超」ブランディングで世界を変える 挑戦から学ぶエンタメ仕事術』(文藝春秋)などがある。 日本大学藝術学部映画学科監督コース/豪州ボンド大学大学院MBA コーネル大学ブランドマネージメントコースを2023年に修了 一般社団法人ライセンシングインターナショナルジャパ ン会員/American Marketing Association(アメリカ・マーケティング協会) 会員 日本大学客員教授
【参加対象】 海外に売り込みたいモノ・コト・サービスを持っているすべての方にお勧めです。 企業が求めるBMST人材となり、フリーランスとしての活躍の場を増やしたいという翻訳者や通訳者は必見です。
お申し込み締め切り:2023年9月25日(月)18:00
プロの翻訳者は英文のどこを見て、何から考えるのか
翻訳では、英語から日本語に訳している時、いくつ辞書を調べてもぴったりと感じる訳語が見つからなかったり、原文を意識しすぎて日本語として不自然になってしまうことがある。そのような「翻訳の違和感」とどう向き合えばいいのか。そんな悩みを解決するため、日本映像翻訳アカデミー(JVTA)ではサマースクール「日本語の訳文が出来上がるまで ~翻訳者は英文から何を感じ取るのか~」を開催。映像翻訳に必須の「英文解釈力」のレベルアップ目指す「ロジカルリーディング力強化コース 」で指導を行い、自身もプロの映像翻訳者である山根講師山根講師が登壇し、プロの翻訳者による原文の読み解き方を解説した。
辞書で見つけた言葉は翻訳としてふさわしいのか? 今回のセミナーでは事前課題が用意され、参加者は各自翻訳に取り組んでからのセミナー参加となった。課題の一つとして取り上げられたのは次の文章。かつてアメリカで国務長官を務めていたヒラリー・クリントン氏が、外交のポイントについて語るインタビューの一部だ。
(課題文) It’s rare that you get one big bang moment in diplomacy. There have been some, but usually it takes painstaking, patient deliberation where you keep looking for points of agreement where you narrow the areas of disagreement between you and another country or a group of countries. And it is not for the faint of heart because it does take so much time and energy.
山根講師はこのインタビューについて、まず1文目の“It’s rare that you get one big bang moment in diplomacy.”(「外交においてbig bang momentを得ることは稀である」)にある「big bang moment」という表現に注目した。 「『ビッグバン』と聞いてまず何を思い浮かべるか?」と山根講師が参加者へ質問すると、チャット欄に「宇宙の始まり」というようなワードが届いた。しかし課題のインタビュー内容は宇宙とは関係がない。では「何かの始まり」であるという意味なのか?「外交において、何かが始まるのことは稀である」という意味なのか?参加者に問いかけながら、山根講師は「big bang」の意味を辞書で確認した。すると辞書には、「大幅な改革」や「大規模な見直し」という訳が載っている。「『大幅な改革』という表現は外交に関係しそうだ」と言いつつ、山根講師は次の文の解説に進んだ。 続いて山根講師が注目したのは、次の文に登場する「painstaking, patient deliberation」という表現だ。1文目と2文目の関係性を読み解き、「外交というものは通常はpainstaking, patient deliberationが必要であり、big bang momentになることは稀である」という話をしていると説明。そして「big bang moment」と「painstaking, patient deliberation」は対の関係になっており、それを踏まえると「big bang」は「物事が一気に進展すること」のような意味合いになることが分かると解説した。
「辞書で引くだけでは、ピンとくる訳語は見つかりません。翻訳では、辞書に載っている訳語がそのまま使えるとは限らないのです。言葉の定義は文脈から決まります」 終了後、セミナー参加者からは「普段ふんわりと原文を解釈していたと実感した」「一語一語丁寧に読み解くことの大切さを再確認した」「意味は分かってると思っていたのに、見落としがたくさんあることに気づいた」などの声が届いた。今回のセミナーでは、何らかの翻訳経験、もしくは翻訳学習経験を持っている参加者が多かった。しかしプロとして活動している人でも、改めて「原文の読み解き方」の奥深さを実感することになったようだ。 英語から日本語への翻訳において、各単語にぴったりと合う訳語が必ずあるとは限らない。辞書に載っている訳語を意識するあまり、日本語が不自然になったり、伝えたい内容から離れてしまったりすることもある。辞書を確認することはもちろん必要だが、それだけで終わることなく、前後の文や単語との関係性をしっかりと把握することが重要だ。ただ言葉を置き換えるだけでは翻訳にならないということを実感するセミナーとなった。
お知らせ: 本セミナーの登壇者である山根克之講師が担当する「ロジカルリーディング力強化コース」 が2023年10月24日(火)より順次開講!英文を「何となく読める」レベルから脱却し、確実な根拠に基づいて理解した内容を自分の言葉で説明できるようになるまで考え抜くトレーニングを行います。
セミナーを通して「もっと英文解釈力を磨きたい」「プロの映像翻訳者による翻訳プロセスをもっと知りたい」という方は、ぜひご受講ください。
ただ今、無料体験レッスンも開催中。コース詳細は体験レッスンの申込はこちら
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