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学生インターンが英語字幕をつけ、SDGsをテーマにした映画上映イベントを開催

【プレスリリース】
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学生インターンが英語字幕をつけ、SDGsをテーマにした映画上映イベントを開催
~プロの映像翻訳者を育てる日本映像翻訳アカデミーと東京外国語大学による産学協働プロジェクト~


大学生が翻訳して、考えて、語る。ことばと映像で知るSDGs
~「映像」というメディアを通して社会問題に対する新たな気づきを与える~

映像翻訳者を育成する日本映像翻訳アカデミー株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:新楽直樹、以下「JVTA」)は、「ことばの力で社会を豊かにする」という企業理念のもと、インターンシップ・プログラムをベースとした無料オンラインイベント「WATCH 2024 : For a Sustainable Future(以下、WATCH 2024)」を開催します。本イベントは東京外国語大学(所在地:東京都府中市、学長:林佳世子)が共催となる産学協働プロジェクトです。2022年のスタート以来3回目となる今回は、初の試みとして英語字幕を制作。SDGsをテーマにした日本制作のドキュメンタリー作品に学生が英語字幕をつけ、オンライン上映を行います。さらに上映作品に関連した発表や、トークセッションの開催も予定しています。

■学生が主体となって翻訳から上映イベントまでを行う実践型インターンシップ・プログラム
JVTAはプロの映像翻訳者を育成するスクールとしてのノウハウを生かし、学校教育機関において映像翻訳や英語を教えたりするなどの活動を行ってきました。そんな中、コロナ禍で大学生がさまざまな機会を喪失してきた姿を目にしたことをきっかけに、彼らの活動を支援するための企画として、「WATCH 2022: For a Sustainable Future」を2022年2月26日(土)~3月13日(日)に、「WATCH 2022 WINTER」を2022年12月9日(金)~12月18日(日)に開催しました。本プロジェクトはその第3弾です。

本イベントのベースとなるインターンシップ・プログラムの大きな特徴は、全員がJVTAのインターン生としてスタッフの指導・サポートを受けながら、イベントの成功に向けて主体となって活動する点にあります。今回は国内外の学生約50名が参加。イベント開催に向け、プロの映像翻訳者の指導のもとで字幕翻訳実務に取り組みます。さらに作品翻訳の過程で得た社会問題へ理解や知識をもとにトークセッションなどの企画、HPやSNSを使った情報発信などを主体となって担います。業務を通して、学生たちは「チャレンジ精神」「チームワーク力」「コミュニケーション力」「リーダーシップ力」「主体的行動力」「グローバル素養」といったスキルを身につけていきます。さらに、自らがSDGsの重要性を発信する側に立つことで、世界を取り巻く社会・環境問題についての新たな視点・気づきを得ることにもつながるでしょう。

■翻訳過程で作品のテーマや社会課題について理解を深め、その学びを社会に発信していく
今回英語字幕をつけて上映する作品のひとつは、日本制作のドキュメンタリー作品『こころの通訳者たち~What a Wonderful World~』(2021年)です。本作は、手話を目の見えない人に伝えるための音声ガイドづくりに挑戦した人々を追ったドキュメンタリー。耳の聴こえない人にも演劇を楽しんでもらおうと舞台手話通訳者たちが奮闘する姿を映した映像に対し、目の見えない人に伝える音声ガイドを作ろうと試行錯誤する姿を記録した作品です。

2024年4月1日より経済産業省が定めた「改正障害者差別解消法」が実施され、映像に字幕・音声ガイドを付けることが義務化されました。それに伴い、日本語字幕ガイド・音声ガイド制作に関する社会的な興味関心が高まっています。字幕ガイド・音声ガイドがより身近な存在になっていく中、インターン生たちは本作の翻訳を通して語学力を磨くだけではなく、目が見えない・見えづらい人や耳が聞こえない・聞こえづらい人に対する理解を深め、より良い社会を作る方法を考えていきます。また、上映イベントではこのほかに短編ドキュメンタリー作品2本を上映予定です。

■「WATCH 2024 For a Sustainable Future」実施概要
公式ウェブサイト:http://www.watch-sdgs.com
インターンシップ概要
・インターンシップ期間: 2024年4月~2024年7月
・上映イベント開催期間:2024年6月27日~2024年7月7日(日)
・開催方式:ラーニングプラットフォーム「JVTA Online」にて視聴
(映像はオンデマンド方式で配信。トークイベントはZoomでライブ配信を予定)
・参加費:すべて無料・要事前申し込み
(申込詳細は決定次第、公式ウェブサイトで発表)
・共催:東京外国語大学

■課題作品概要
『こころの通訳者たち~What a Wonderful World~』
2021年/上映時間94分/監督:山田礼於

手話を目の見えない人に伝えるための音声ガイドづくりに挑戦した人々を追ったドキュメンタリー。耳の聴こえない人にも演劇を楽しんでもらうために挑んだ舞台手話通訳者たちの映像を、目の見えない人に伝える音声ガイドをつくろうと試行錯誤する姿を記録している。

公式サイト:https://cocorono-movie.com/


『映画のヒカリ』
2021年/上映時間11分/監督:内田英恵

©️内田英恵/Yahoo!ニュース ドキュメンタリー

世界の子どもたちに移動映画館で映画を届ける活動をするWorld Theater Project代表の教来石小織さんは、コロナをきっかけにその活動の一時休止に直面する。活動自体続けていいのか悩むようになった彼女は、ある再会をきっかけに答えを出す。

『KIMONOルネッサンス』
2023年/上映時間10分/監督:太田信吾

©️太田信吾/Yahoo!ニュース ドキュメンタリー

広瀬嶺さんは京都で舞妓として活動をした後、和裁の仕事など着物に関わる仕事をしてきた。その仕事の過程で古い着物が大量に捨てられたり、古物市で乱雑に扱われている事を知り、胸を痛める。彼女は廃棄される着物を集め、アップサイクルに挑戦する。

【本リリースに関するお問い合わせ先】
日本映像翻訳アカデミー株式会社
watch(アット)jvtacademy.com
※(アット)を@に置き換えてください。

リモートセミナー・シリーズWinter 2024レポート~言葉で遊ぶ!クリエイティブな映像翻訳の世界~

JVTAでは受講生や修了生、映像翻訳に興味がある人、エンタメ業界に興味がある人に向け、様々なイベントを開催している。

2024年冬のセミナーテーマは「言葉で遊ぶ!クリエイティブな映像翻訳の世界 」。日本のお笑い番組やバラエティ番組の英語字幕を考えるセミナーや、映像翻訳のスキルを生かして洋楽の翻訳でも活躍しているゲストを招いたセミナー、また映画の本場・ロサンゼルスで活動する映画監督がハリウッドの現状を語るセミナーなど、映像翻訳や言葉の可能性を深掘りするラインナップで開催した。またJVTA初となるSNSクリエイターとのコラボ企画も実施。英語系YouTuberとして大人気のみっちゃんと共に、日本語字幕制作にトライする企画も行った。

ここではリモートセミナー・シリーズ Winter 2024で開催したセミナーの取材記事を紹介する。(青字のタイトルをクリック)


★リモートセミナー・シリーズ Winter 2024のラインナップ詳細はコチラ


◆2024年2月3日(土)開催
~「好き」を仕事に繋げる留学~エンタメの本場 ロサンゼルスで得たものとは?」

【冬セミレポート】「映像業界で働きたい」夢を現実にした留学


◆2024年2月9日(金)開催
\スペシャルコラボ企画/ 英語系YouTuber みっちゃんとリアルタイムで一緒に字幕!

【冬セミレポート】人気の英語系YouTuberみっちゃんと字幕翻訳に挑戦!」


◆2024年2月16日(金)開催
多くの歌詞翻訳を手掛ける翻訳者に聞く!洋楽はこうして訳されている

【冬セミレポート】経験豊富なプロの翻訳者が語る歌詞対訳の極意


◆2024年2月22日(木)開催
映画監督と考える!グッとくる日本語字幕ガイド・音声ガイド

【冬セミレポート】制作者の意図をくみ取り、ガイドするポイントを見極める



◆2024年2月26日(月)開催
「面白い」をどう引き出す?!日本のバラエティ・お笑い番組のローカライゼーションの世界

【冬セミレポート】お笑い番組でおなじみのツッコミ「やかましいわ!」を英語にすると?


◆2024年3月1日(金)開催
21年に大好評だったあのセミナーが3年ぶりに復活!続・翻訳の“入口”と“出口”を学ぶ特別講座

【冬セミレポート】「伝わる翻訳」ができるまで ~文章を見つめ、適訳を探る~


◆2024年3月10日(日)開催
ハリウッドを知る映画監督に聞く!ポストコロナのエンタメ業界とは?

冬セミレポート【監督インタビュー】変わりゆく映画業界 ~人の手で映画を作っていくために~


JVTAでは今後も様々なセミナー・イベントを開催していきます。次回をお楽しみに!


◆【映像翻訳にご興味をお持ちの方は今すぐ「リモート個別相談」へ!】
入学をご検討中の方を対象に、リモート個別相談でカリキュラムや入学手続きをご説明します。
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日本映像翻訳アカデミー(JVTA)は、全てのクラスを完全リモート対応で開講しています。入学をご検討中の方を対象にご都合のいい日時でリモートでの個別相談を承っております。個別でカリキュラムや学習についてなど、様々なご質問にお答えします。ご自宅から参加していただけますので、ご検討中の方はご気軽にお申し込みください。
 
 英日映像翻訳 総合コース・Ⅰ(コースの詳細▶こちら
日英映像翻訳 総合コース(コースの詳細▶こちら
その他、コースや入学に関するよくあるご質問は▶こちら
会社概要▶こちら

◆リモートで学ぶなら実績のあるJVTAで! 
JVTAは2015年より双方向型のリモート授業を正規講座に導入しており、リモート受講の修了生からもたくさんのプロフェッショナルが生まれています。教室と国内外のご自宅をライブ配信で繋ぎ、教室の受講生とまったく同じように質疑応答、講師のフィードバックが可能です。JVTA独自に開発したクラウド型プラットフォーム「JVTA Online」でリモートでの快適な受講環境を提供しています。詳細は▶こちら
 
◆リモート受講を体験した受講生・修了生の声は▶こちら
 
・ご用意いただくもの
PCまたはタブレット
カメラ(PC内蔵のものでもOK)
マイク(PC内蔵のものでもOK)※質問をしていただく際に必要です。
安定したネット接続の環境
※よりクリアにお聴きいただくために、ヘッドホンかイヤホンのご使用をおすすめしています。
※リモート受講(JVTAライブ)FAQ ~よくある質問~▶こちら
 
 

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リモート個別相談は、下記フォームよりお申し込みください(参加無料)
ご希望の日時で、当校スタッフが入学に関するご案内のほか、コース選択や映像翻訳学習・修了後の進路などの不安や疑問にマンツーマンでお答えします。
ご希望の方には字幕体験レッスンを行うことも可能です。下記申し込みフォームの「ご相談内容・連絡事項など」にご希望の旨と日英・日英のどちらかを選び、ご入力ください。
※アメリカ在住でロサンゼルス校での受講にご興味がある方は、現地スタッフが別途個別でご相談を承ります。
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【日時】
個別相談をご希望する日にちと時間帯(日本時間)をお知らせください。折り返しご連絡のうえ、日時を決定いたします。
 
【お問い合わせ】
電話 03-3517-5002
メールアドレス seminar@jvta.net

 
【ご予約】
ご希望の日にちと時間帯をご記入後、送信ボタンを押してください。このページで入力いただいた内容はSSLで暗号化されて送信されます。
*平日は11:00〜20:00、土日祝は11:00〜17:00の時間帯で受け付けています。

※お申し込みされた方には、JVTAや映像翻訳の最新情報をお届けするメールニュースに登録させていただきます。

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2024年3月 オープントライアル(英日・日英)、2023年10月期 実践日曜集中修了トライアル 合格発表

【2024年3月英日オープントライアル合格者発表

合格6名、次点17名です。
以下順不同、敬称略。
■合格

浜崎弥生
204
410
426
473
476
■次点

三上奈津美
新地茜
安住菜那
佐俣真理子
山内徹
河村綾音
盛岡雅恵
012
038
040
081
442
455
458
459
465
470

【2023年10月期英日実践修了トライアル合格者発表

合格4名、次点11名です。
以下順不同、敬称略。
■合格

染野日名子
512
525
528
■次点

小笠原愛子
中原美香
佐藤緩奈
鹿野裕人
501
503
504
506
517
527
535


以上
【2024年3月日英オープントライアル合格者発表】
合格 3名、次点 6名です。
以下順不同、敬称略。
■合格

立川陽子
005
015
■次点

茂貫牧子
平井万莉
シュレーゲル 京 希伊子
003
012
017
【2023年10月期 日英実践修了トライアル合格者発表】
合格 3名、次点 8名です。
以下順不同、敬称略。
■合格

内藤裕子
505
506
■次点

Christopher Tam
田代悠一
508
511
513
514
515
519


以上
※※従来の「Q&Aセッション」を廃止し、
あらたに受験者全員に「ポイント解説」資料を配布しております。
送付日は「結果発表」の翌週内を予定しています。
詳細は、下記をご覧ください。※※
https://www.jvta.net/mtc/trial-new-rule20200219/

◆【2024年度 前期】トライアルスケジュール
https://www.jvta.net/mtc/202404-trial-schedule/

●MTC…メディア・トランスレーション・センター
トライアル事務局
Tel:03-3517-5550

【冬セミレポート】制作者の意図をくみ取り、ガイドするポイントを見極める

開催日時:2月22日(木)19:30~20:30 ※日本時間

登壇者プロフィール

ゲスト:川北ゆめき氏(映画監督)

1994年生まれ。神奈川県出身。中央大学入学と同時に映像制作を始める。中編映画『変わらないで。百日草』が、TAMA NEW WAVEやカナザワ映画祭などの多くの映画祭で入選を果たす。2018年に監督した長編映画『満月の夜には思い出して』は、映像と音楽の祭典 MOOSIC LAB 長編コンペティション部門に正式出品され、音楽を担当した大槻美奈が特別賞を受賞した。同作は、2019年に渋谷シネマ・ロサ、京都出町座などで劇場公開された。

2020年には、ヨコハマ映画祭で監督賞を受賞した城定秀夫監督『アルプススタンドのはしの方』のメイキング監督を務めた。

公式HP:合同会社ユメキラメクhttps://yume.kirameku.co.jp/

進行役:石原彩(日本語字幕ガイド制作ディレクター・講師)

日本映像翻訳アカデミー(JVTA)「バリアフリー講座」修了生。10年以上にわたり、劇場公開映画・アニメ・ドラマ作品の日本語字幕ガイド制作に携わる。

見えづらい人のための、映像作品の「画」が伝えている情報を言葉で説明する音声ガイドや、聞こえづらい人に「音」が伝えている情報を文字にして表示する日本語字幕ガイドの普及が進んでいる。このセミナーでは川北ゆめき監督が自身の体験を基に5年かけて制作した映画『まなみ100%』を題材に、監督が作品にこめた思いを聞きながらガイド制作の裏側を解説し、参加者もセミナー内で字幕ガイド作りに挑戦した。この日、取り上げたのは、主人公の「ぼく」と学生時代に憧れていた瀬尾先輩との再会のシーン。ガイド制作者が気になったポイントは、就活中の瀬尾先輩が手にしているお酒が缶ビールでも酎ハイでもなく、カップ酒だという点だ。

◆作品の背景や人物の関係性などを踏まえて字幕化する

瀬尾先輩は容姿端麗な部活のマドンナ。そんな先輩がカップ酒を手に夜の公園で酔っ払ってふざけているシチュエーションや、「ぼく」との関係を踏まえた上で字幕を作ることが求められる。この作品は「ぼく」自身の、一人称視点の青春物語。「ぼく」と自分の青春時代を重ね合わせて懐かしむ視聴者もいれば、全く新しい体験として見る視聴者もいる。視聴者に作品の楽しみ方を委ねるため、制作者はどちらの立場も取らず、客観的に読みやすい字幕を制作することが求められるが、主観を入れた字幕表現で演出しなければならないセリフもある。題材となったシーンはラストにも伏線がある重要なシーン。千鳥足になっている先輩の楽しそうな、たどたどしいセリフにこだわり、あえて崩した表現の「きもち~よ~」と「気持ちいいよ」を使い分けた。こうした判断にも字幕制作者は丁寧に時間をかけて考えているのだという。

◆映像に映る何をどんな言葉で音声にしてガイドするのか

一方、音声ガイドにはまた別の視点が必要だ。映像から得る視覚情報はとても多い。すべての情報を漫然とガイドするのはではなく、色、形、場所、位置、動きなどの中で何を優先して伝えればよりその映像を楽しめるかを常に考える必要がある。字幕作りに取り上げた同じシーンの音声ガイドも参加者と共に聞くと、ここでも瀬尾先輩が手にする「カップ酒」がガイドされていた。また、スーツ姿の瀬尾先輩が始めは束ねていた髪を公園でほどいていることにも言及。ガイドを聞いた川北監督が、彼女が手持ち無沙汰のように自分の指に触れながら話すしぐさの描写が面白かったと話していたのが印象的だった。

参加者からは、「とても素敵な作品で字幕/音声ガイドのグッとさせる工夫に感動しました」「ディスクライバーという職業を初めて知りましたし、映像のどの部分を音声ガイドとして視聴者に届けるのか、という視点がとても面白いと思いました」などの声が寄せられ、翻訳字幕や吹き替えとは違う難しさを実感したようだ。

メディア・アクセシビリティ科 無料説明会を開催

2024年5月11日 音声ガイドコース開講

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リモート受講のクラスメート8名がJVTAに初訪問 リアル対面で語り合った学びの思い出 

JVTAではコロナ禍になった2020年から、すべてのコースを全面リモートで開講している。PCがあれば自宅から繋いでクラスに参加できるようになり、地方都市や海外在住の受講生も大幅に増えた。

先日、英日映像翻訳の実践コースを受講の8名がJVTAに初めて来校。リモート授業の前後に設けられた歓談タイムや別の日にオンラインで集まるなど交流を深めてきたそうだが、JVTAのスタッフや講師、クラスメートと直接顔を合わせるのはこの日が初めてとなった。クラスメートの一人が福島から上京したのをきっかけにJVTAに集まったという皆さんに、入学したきっかけや、受講中の思い出を聞いてみた。

講師やスタッフと共に集合写真を撮影

JVTAで学び始めた理由は十人十色だ。会社の先輩がJVTAの修了生だったと話すのは、林友理恵さん。実は職場に3、4人お仲間がいたという。

「先輩からJVTAの先生や授業が良かったと聞き、さらに実際に映像翻訳のお仕事をしていると聞いたのが受講のきっかけです。受講は大変でしたが楽しくて充実していました。それまでは、『この字幕違うのでは?』と思うこともありましたが、『これは字数などの関係でこうせざるを得なかったのだろう』と思うようになり、映画やドキュメンタリーを観るのが楽しくなりました。」(林友理恵さん)

佐藤那奈さんも映画の見方が変わったという一人だ。映画や英語が好きでいくつかの翻訳学校の募集イベントに参加後、JVTAに興味を持ち入学した。

「今まで視聴者として観ていた時と映画の見方が変わりました。この訳になるにはどんな理由があったのだろうと考えるようになり、なぜこの訳?ともやもやしていたことがクリアになり、翻訳を学んだからこそ、これでいいんだと思えるようなりました。」(佐藤那奈さん)

JVTAの授業の特徴の一つに「作品解釈」がある。映像の本質を伝えるためには、異なる言語にただ置き換えるのではなく、作品全体の流れや背景を理解し、オリジナル言語で観て感じる面白さを翻訳した言語で観ても同じように伝える必要がある。「作品解釈」を学んだことで、映画を観る時、常に作品の構成や流れを考えるようなったという声も複数あがった。

「映像翻訳の課題は想像を絶する難しさでした。数字が出てきたら裏取りのことを考えるようになって…。映画を観ていても時計を気にしながら、ここが“重要なことが起きるミッドポイント”かな?と浅川先生に習った作品解釈を考えたりするようになりました。配信だとタイムコードも見えて便利なのですが、巻き戻してばかりいて、なかなか観終われません(笑)。」(K.K.さん)

「僕も最近映画見る時、今ミッドポイント通ったとよく巻き戻します。ダラダラとみていて“ターニングポイントとなるプロットポイント”に気づかずに32分などになるともう、ゾワゾワしてきます(笑)。知識は簡単に手に入りますが、管理してもらって課題を添削してもらう経験はスクールに入らないとできない。そこに価値があると思って受講を決めたので、自分の殻は破れたと感じています。」(鹿野裕人さん)

JVTAでは各自の過去の学習経験を考慮した編入制度を導入しており、通信講座の映像翻訳Web講座や、他校で学んでから編入する人も増えている。

「アルクの教材をずっと定期購読していたのがきっかけでアルクとJVTAによる映像翻訳Web講座を受講。はじめは英語の勉強に近い気持ちでしたが、ベーシックコース、プラクティスコースを受講し、もっと積極的にスキルを学びたいと思い始めました。そこでJVTAのオープンスクールに参加したら、先生たちの情熱に心を掴まれて…。リモート受講の総合コース・Ⅱのコースに編入しました。」(佐藤緩奈さん)。

「今後を見据え、自分の好きなことで定年など関係なくできる仕事を探していた中で、翻訳がいいなと思いました。最初は翻訳のジャンルも何がいいのか分からなくて実務、出版、映像のすべてを学べる学校に行きました。3カ月を終えたあと、やはり映像が楽しいと思い、映像翻訳に特化したJVTAに編入。授業が終わるタイミングで次の課題が出て毎週提出するのは大変でしたが、実践的な授業でとても勉強になりました。」(鈴木直子さん)

過去にJVTAに通いながら途中で断念したものの、再度挑戦し実践コースに辿り着いたという嬉しい声もある。

「実は10年前くらいにJVTAに通学していました。当時仕事で残業が多く、途中で断念してしまったものの、ずっと心の中にはあったんですね。寄り道をしてしまったのですが、JVTAのサイトやYouTubeチャンネルの番組を時々見ていました。再受講のきっかけはコロナ禍でリモートになったこと。仕事との両立も可能になり、有難かったです。」(Y.M.さん)

JVTAのコースでは、英文解釈や日本語表現力に特化した授業もあり、総合的なスキルを学べるのも大きな学びとなったという。

「映画が好きで翻訳にも興味があったのですが、実務翻訳は分野が分かれ過ぎていて何を選べばいいのか分かりませんでした。最近は動画配信も増えた中で映像翻訳に需要があるのではないかと思ったので、JVTAのオープンスクールに参加。先生のお話を聞いてやはり映像翻訳に興味を持ちました。受講してみたら、思っていた以上に大変で、こんなことまで考えて訳しているのか!と衝撃でした。私は帰国子女で日本語に自信がない部分もあるので、山根先生の『翻訳って日本語の表現力や文法が一番大事』という言葉にくじけそうになりましたが、授業の中でさまざまなスキルを学び、なんとかやってこられました。」(松澤瞳さん)

学びのきっかけはそれぞれだが、目指すゴールは全員同じ。皆さんの和気あいあいとした雰囲気からは、コースを通して共に切磋琢磨したことによる絆が感じられた。リモートでも十分学びを深めることはできる。しかしクラスメートや講師とリアルで会うことは、新しい刺激を得ることにもなるだろう。仕事をすることを前提にした実践的な授業で、今後プロになるためのスキルを学び、映像翻訳に携わる自信がついたという声が頼もしかった。

受講生・修了生の皆さん、ぜひお気軽にJVTAへ遊びにいらしてください。お待ちしています。

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ダマー国際映画祭が4月13日~14日開催 字幕翻訳者が語る「人の心に深く響く作品の魅力」

4月13日(土)、14日(日)、日比谷コンベンションホールで「ダマー国際映画祭」が開催される。JVTAはこの映画祭に字幕制作で協力しており、上映作品の中の4作品の字幕を修了生が手がけている。

「ダマー国際映画祭」は、2001年にワシントン州シアトルでスタートした国際短編映画祭。『パッション』や『ナルニア国物語』、『Ray / レイ』などの企画やマーケティングを手掛けたマーク・ジョセフ氏が代表を務めている。「ダマー」とはヘブル語(ヘブライ語)で「隠喩」や「たとえ話」を意味する言葉だ。この映画祭では、露骨な暴力描写や過激な映像に頼らず、人間の多様な感情や体験を芸術的に表現することを評価することが特徴で、30分未満であることが応募の条件とされている。バイオレンスシーンが苦手という人も安心して観られるが、視聴者の心に深く響く作品が集められている。

日本語字幕を担当し、作品とじっくり向き合った翻訳者に見どころをきいた。

◆『Pinwheel Horizon』

(Director Ian Ebright, 2019 Damah Winner)

日本語字幕 丹黑 香奈子さん

ある任務を担って旅する戦士たちの物語です。抽象的なことばの奥に深いテーマがあり、翻訳しながら、人生について考えを巡らせていました。

正しいと信じた道の先で、思い描いた結果が得られなかったら、どうしますか?3人の戦士たちが旅の果てに何を思うのか、ぜひ見届けてください。

すばらしい作品に出会えたことに感謝しております。作品に込められたメッセージを的確にお伝えできるよう、翻訳者としてこれからも努力し続けます。

◆『Hide and Seek

 (Director Rositsa Trayanova) Bulgaria

日本語字幕 坂下亜子さん

1人の女性ロージーが少女から大人になるまでが、祖母とのかくれんぼを通して描かれています。

目を閉じて10数えるように、彼女の子供時代もあっという間に過ぎ去ります。

2人の会話はちょっとした言い合いのようですが、その中にも互いを愛おしく思う気持ちがにじみ出るよう、口調に気を付けて翻訳しました。

ブルガリアの作品ですが、世界中の孫がおばあちゃんとの時間を振り返り、その思い出を抱きしめたくなるような物語です。

◆『On My Way』

 (Director Ho Ching Fong) Hong Kong

日本語字幕  武富香子さん

この度は「On My Way」の日本語字幕を担当させていただき大変光栄に思います。この映画祭は近年まで広島で開催されていたそうで、広島出身の私は勝手に特別な縁を感じております。「On My Way」は香港を舞台に、複雑な家庭環境にある少女と、闘病中の妻を見守るタクシー運転手の一期一会を描いた作品です。最後にしみじみと「いい映画を見たな」と感じられる、心に染みる作品です。ぜひ多くの方に観ていただけたらと思います。

◆『Empty Heights, Moonlit Night

(Director Canghai Lu) China

日本語字幕 武政涼子さん

中国が舞台の本作の主人公は、一人暮らしの老人。何年も帰省しない子どもたちに腹を立て、裁判を起こします。そんな老人の悲しい想いとは対照的に長閑な風景とゆったりと流れる時間が印象的な本作。それは老人の心情をそのまま映し出しているようで、誰にでも訪れる「老い」について改めて考えさせられる作品です。鑑賞後は思わず実家に電話したくなる、そんな作品かと思います。

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今年はトークゲストにバリー・クック氏が登壇する。彼は、『リトル・マーメイド』、『美女と野獣』、『アラジン』にアニメーターとして携わったほか、『ムーラン』や『ウォーキング with ダイナソー』、では自ら監督を務めている。CGアニメーターのパイオニアとして知られるバリー・クック氏のトークを聞ける貴重な機会、こららもどうぞお見逃しなく。

ダマー国際映画祭

2024年4月13日(土)~14日(日)

日比谷コンベンションホール

※日比谷図書文化館 (B1

https://www.damahfilm.com/

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English Clock「ロジカルリーディング力 強化コース」
5月7日より開講 無料体験レッスン開催します

英文を「何となく読める」レベルから脱却し
確実な根拠に基づいて理解した内容を
自分の言葉で説明できるようになる
 

English Clockは“プロの映像翻訳者が持つ思考プロセス”を伝授し、映像翻訳に必須の「英文解釈力」を着実にレベルアップさせることを目的としています。
 
English Clockの「ロジカルリーディング力 強化コース」では、英文読解を高度な知的活動と捉え、英文を「何となく読める」レベルから脱却し、確実な根拠に基づいて理解した内容を自分の言葉で説明できるようになるまで考え抜くトレーニングを行います。英字紙の社説やドキュメンタリー番組のスクリプトなど、深い内容の素材を訳しながら、英文を貫く論理の見出し方、筋の通った訳文の作り方を学びます。
 

★次期開講は2024年5月です。
※無料体験レッスンは2024年4月期の開講前に実施予定です。

ロジカルリーディング(全8回)(2024年5月7日から順次開講)
火曜 クラス(13:00~15:20)
水曜 クラス(19:00~21:20)
土曜 クラス(10:30~12:50)
 
ロジカルリーディング・アディショナル5(全5回)(2024年8月6日から順次開講予定)
火曜 クラス(13:00~15:20)
水曜 クラス(19:00~21:20)
土曜 クラス(10:30~12:50)
 
<選択の目安>
ロジカルリーディング
●受講対象者:英文を「何となく読める」レベルから脱却し、確実な根拠に基づいて理解した内容を自分の言葉で説明できるようになりたい方
●英語レベル:目安 TOEIC730点~
・文章全体の趣旨や目的は理解できる
・難しい概念を表す語彙や、日本語的な考え方では理解が難しい表現、複雑な構造の文が出てくると理解が曖昧になる
・文章内の広い範囲に散らばる情報の関連付けができない
 
ロジカルリーディング・アディショナル5
※「ロジカルリーディング」の受講が必須です。
●受講対象者:応用編として、字幕やボイスオーバー原稿の作成を通じて、視聴者の頭の中に理屈がスムーズに入り込むセリフの作成法を学びたい方
 
※2022年10月期以前にアディショナル5を受講いただいた方も、2023年4月期からのカリキュラム改定に伴い、再受講が可能となります。再受講を希望される方は、下記メールアドレス宛にご連絡ください。
メール:english-clock(at)jvtacademy.com ※ (at) は @ に置き換えて下さい。

 
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※2024年4月期は、全面リモートでの受講となります。
【リモート受講とは?】
リモート配信にはZoomを使用しています。ご自宅と教室をオンランで繋ぎ、いつもの時間にリアルタイムで講義を受けていただくことができます。録画したものを見ていただく形式とは異なり、音声機能を使い、その場で質問をしたり、クラスメイトとコミュニケーションを取ったりすることが可能です。通学と同様、プロの映像翻訳者に必要なスキルをしっかりと学ぶことができます。

・ご用意いただくもの
PCまたはタブレット
カメラ(PC内蔵のものでもOK)
マイクロフォン(PC内蔵のものでもOK)※質問をしていただく際に必要です。
安定したネット接続の環境
※よりクリアにお聴きいただくために、ヘッドホンかイヤホンのご使用をおすすめしています。
※リモート受講(JVTAライブ)FAQ ~よくある質問~▶こちら

■ロジカルリーディング 無料体験レッスン
 ※体験レッスンへの参加は1回のみとさせていただきます。
過去に参加歴のある方は、english-clock(at)jvtacademy.comまでご連絡ください。

※説明会に参加せずに申し込みをご希望の方は下記のフォームから同項目を選択してご連絡ください。こちらからメールでご連絡いたします。

【スケジュール】※追加開催決定

2024年4月24日(水)19:00-20:30  
2024年4月27日(土)10:30-12:00

※体験レッスンに参加していなくても受講は可能です(満席の場合は参加者が優先)
ご検討の方はメールでお気軽にお問い合わせください。
お電話:03-3517-5002
メール:english-clock(at)jvtacademy.com ※ (at) は @ に置き換えて下さい。

※本ページ下部のフォームからお申し込みください。
※お申し込み後、自動返信メールでオンライン受講に際しての簡単なマニュアルをお送りしています。もし、届かない場合は下記のアドレスまでお知らせください。
ご質問等ある方は、メールでお気軽にお問い合わせください。
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【山根克之講師コラム】AI時代に生き残る翻訳者になるために
AI技術が著しく発達したこの時代、機械翻訳に任せてもそれなりの訳文が出来上がるようになりました。試しに英文を、グーグル翻訳を使って訳してみましょう。
 
Stratford-upon-Avon, where Shakespeare was born, is visited by a great number of tourists every year.
 
これがグーグル翻訳では
「シェイクスピアが生まれたストラトフォード・アポン・エイボンは、毎年多くの観光客が訪れます」
と訳されます。特に問題はありませんね。
 
では、次の英文はどうでしょう?
Japan ruled Taiwan from 1895 to 1945, when Japan surrendered unconditionally to the Allied powers in World War II.
 
グーグル翻訳の訳文は
「日本は第二次世界大戦で連合軍に無条件で降伏した1895年から1945年まで台湾を統治しました」
と出てきました。これは明らかな誤訳です。おそらく関係副詞whenがかかる部分を機械的にfrom 1895 to 1945と考えて処理した結果でしょう。でも、日本が連合国軍に無条件降伏したのは1945年のことなので、この場合whenがかかるのはfrom 1895 to 1945ではなく1945です。whenはin 1945と書き換えることができるのです。一般的な歴史の知識があればこれくらいの判断は簡単にできます。
 
上記の例から何が分かるでしょう? 人は文を読む際、経験から得た知識を応用しながら、きちんとしたロジックが成り立つように解釈しているのです。ロジックが成り立たない時には違和感を覚えるはずです。「1895年から1945年にかけて降伏したというのはおかしいだろう」と考えもせず、目の前にある英文をただ日本語に変換するだけなら機械翻訳でも対応は可能です。そのレベルに留まるなら、翻訳者の存在価値はないと言えるでしょう。AI時代に生き残る翻訳者は、英文を貫く論理を見いだします。


◆English Clock主任講師 山根克之講師のコラムアーカイブは▶こちら
 
◆修了生のコメントを紹介

高槻泰子さん
藤丸千幸さん
小井戸亜由美さん
川村久美さん
古川陽子さん
橘川浩佳さん
中西文子さん
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藤村有沙さん
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    映像翻訳のスキルを生かして翻訳!ミュージカル『Without You』の舞台用字幕をJVTAが担当!

    「舞台用字幕」というものを聞いたことがあるだろうか?映画やドラマのように映像につける字幕ではなく、生の舞台に合わせ、舞台上や舞台横などに設置されたスクリーンに表示される字幕のことだ。海外の演劇やミュージカル、オペラなどが原語のまま日本で上演される際に必要とされるものである。

    2024年3月、ミュージカル『RENT』初演で主人公のマーク役を演じ映画版でも同役を演じたアンソニー・ラップによるワンマンミュージカル『Without You』の来日公演が行われた。アンソニー自身の半生を『RENT』の名曲も絡めつつ紡いでいく物語だ。すべて英語で上演される本作について、JVTAが舞台用字幕の翻訳を担当。修了生の野村佳子さんが翻訳、後藤美奈さんがチェッカーとして携わった。

    翻訳を担当した野村さんは、JVTAの英日映像翻訳科で講師も務めているベテランの翻訳者だ。特に音楽翻訳への造詣が深く、洋楽の翻訳をテーマにしたJVTAのセミナーに登壇した経験もある。そんな経験豊富な野村さんだが、舞台用字幕の翻訳は今回が初めて。野村さんは舞台用字幕の翻訳についてはルールや作業の流れについては詳しくないと思い、一度は依頼を断ることを考えたそう。しかし「リハーサルの映像をもとに翻訳する」ということを聞き、映像翻訳と同じような要領で訳せばいいということが分かり引き受けることにした。

    実際に翻訳作業に入ると、映像翻訳の知識は大いに生かされた。映像と生の舞台という違いはあるが、ストーリーを伝えるためにセリフを翻訳するという芯は同じだ。舞台鑑賞に影響しないように制限文字数や読みやすさを意識する点も映像翻訳と同様。様々なルールを加味しながら、ストーリーが伝わりやすいように流れを作って翻訳するという作業は映像翻訳と全く同じだった。チェックを担当した後藤さんも「映像翻訳の基礎はすべて舞台字幕の翻訳に生かせる」と感じたという。

    『Without You』ではオリジナル曲に加え、『RENT』の有名ナンバーも多数使われている。『RENT』の曲には既存の訳が存在するが、今回の翻訳では既存曲もすべて翻訳し直すことになっていた。既存曲の翻訳にあたり、野村さんが気をつけた点やこだわった点はあったのだろうか?

    「今回、『RENT』の曲はすべて訳し直しました。とは言え、本作を見に来るほとんどの方が『RENT』のファンのはずなので、すでに浸透している訳に手を加えることに正直ためらいはありました。そこで既訳を再度すべて見直し、ベースとなる解釈は残したまま、『私ならこう訳すかな』という基準のもと、翻訳を進めていきました。どう受け止められるか緊張しましたが、開幕後もSNS上では特に指摘も見受けられず、少しほっとしています」(野村さん)

    すでにファンがついている作品に携わるのは、まったく新しい作品を担当するのとは違う緊張感がある。ファンに納得してもらえるよう、翻訳者は隅々まで気を配らなくてはならない。そんな『Without You』の翻訳作業において、チェッカーを担当した後藤美奈さんは元々『RENT』のファンだったという。NYのブロードウェイで2回、日本公演で2回観劇した経験がある、まさに大ファンだ。

    「『RENT』は世界的に愛されている作品です。アンソニー・ラップだけでなく、『RENT』の生みの親であるジョナサン・ラーソンのファンが見ても違和感のない仕上がりになるよう気をつけてチェックを行いました」(後藤さん)

    『RENT』の内容は完璧に頭に入っていた後藤さんだが、本作のチェックを担当するにあたっては、『RENT』のサントラを聞き直すことに加えてアンソニー・ラップの略歴やインタビューにも目を通した。特にタイトルにもなっている本作のオリジナル曲「Without You」はアンソニー自身の体験と重なるような楽曲であるため、曲を聴きこみ万全の準備をした。

    本作はアンソニー・ラップの1人芝居。そのため、セリフの主語が抜けたりねじれたりすると、誰の話なのか流れが分かりにくくなってしまうことが難しい点だと後藤さんは感じた。しかし野村さんが綺麗に翻訳をしていたため、チェック段階で大幅な直しは必要なかったという。後藤さんは全体を通して見た時に観客が極力自然に読めるよう、日本語の自然な表現を意識してチェックを行った。

    野村さんと後藤さんは、それぞれ本番のステージも鑑賞した。舞台用字幕はステージの両側に設置された縦長のスクリーンに映し出されるため、演者を見ながら両脇の字幕に目をやることについては、「映像作品を見るときよりも目を動かす範囲が大きくなる」と実感。そのため2人は上演中も字幕の読みやすさが気になったり、ステージを初見の観客がどれだけ内容に没頭できているか心配になったりと、翻訳者ならではの気持ちでステージを見ていたという。しかし終盤では客席のあちこちからすすり泣く声が聞こえ、ストーリーがきちんと伝わっていることを実感した。

    「アンソニーの生の歌声は、全身に鳥肌が立つほど感動的でした。彼が演じる『RENT』は映画でしか観たことがないのですが、本人が目の前で歌っていて、しかもその作品にほんの少しでも関われたと考えると、感慨深いものがありました。目と頭はグッタリ疲れていたものの(笑)、清々しい気分で会場を後にできました。またチャンスを頂けるのなら、舞台字幕にも積極的にチャンレジしていければと思います」(野村さん)

    「生の舞台が持つエネルギーは格別で、映像作品よりも『役者や他の観客と同じ時間を共有する体験』だと感じました。そこで生まれる感動を届ける役割の一旦を担えたことに、とても光栄な思いでした」(後藤さん)

    JVTA受講生の中でも、「音楽作品が好き」「いつかミュージカル翻訳に携わりたい」という人は多い。今回の舞台用字幕の翻訳では、映像翻訳のスキルが幅広いエンターテインメントのコンテンツに応用ができると改めて感じる機会となった。

    『Without You』に関する詳細は▶こちら



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    【ロジカルリーディング力強化コースの修了生】「英文の構造や前後の関係を突き詰めて根拠を持って訳せるようになりました」

    ロジカルリーディング力強化コースの修了生、佐々木香奈さんは、英日映像翻訳 総合コース・Ⅰを修了後にこのコースを受講。「何となく読んで何となく訳している」という状態から脱却し、根拠を持って訳すことができるようになったという。このコースで具体的に何を学び、何が変わったのか? お話を聞いた。

    ◆ロジカルリーディングを受講しようと思った理由、きっかけを教えてください。

    JVTAに入学する前から興味があって、いつか絶対受講しようと決めていました!総合Ⅰを修了した時点で、やはり総合Ⅱに進む前に「何となく読んで何となく訳している」という状態を脱却しておきたくて、このコースに進むことを決めました。いざ始まってみると、クラスメートのほとんどが実践まで修了されている方だったので、最初は授業についていけるか不安もありました。それでも毎回必死に食らいつき、英文とじっくり向き合うことができたため、このタイミングで受講して本当によかったと思っています。

    ◆授業中に指摘されたことで印象に残ったことはどんな点でしたか?

    授業でいただいたアドバイスはどれも勉強になるものばかりで、挙げれば切りがないくらいです。例えば、翻訳する際どこまで追求すべきなのか、その塩梅について質問したときにいただいた、“キラーインスティンクト”を働かせる(全体の中で絶対に押さえておかなければならないポイントを見抜く)という言葉は特に印象的で、実践において意識すべき大切なポイントだと感じました。山根先生の講義はいつも分かりやすく、私のしつこいほどの質問にも毎回毎回じっくり丁寧に考えて答えていただき、とても感謝しています!

    ◆クラスの雰囲気はいかがでしたか?

    とにかく楽しくて、アットホームな雰囲気が心地よくて、毎回の授業が楽しみでたまりませんでした!なにより山根先生の人柄がとても素敵で、真剣な講義のさなか、所々に差し挟んでくる小話やシュールな一言に、みんないつもクスッと笑わされていました(むしろ私はミュートした画面の向こうで終始、大爆笑していましたが…)。このように、クラスはとても和やかな雰囲気で発言や質問もしやすく、先生やクラスメートのみなさんと、各テーマについて活発に議論することができたと思います。最終日は本当に名残惜しく、今でももう一度最初から受講したいと思うほどです。

    ◆受講前と比べて何が変わりましたか?

    以前はつい雰囲気や感覚で訳してしまうこともありましたが、受講後は英文の構造や前後の関係を突き詰めて考え、しっかりとした根拠を持って訳すことができるようになったと思います。各回で取り組んだ「対の関係」や「引継ぎと展開」、「段落の構成」などは、この講座で教わらなければ絶対に意識することのできなかったポイントだと思います。また、政治・経済・歴史・科学など、これまで個人的にあまり触れてこなかった分野や難しいテーマも、課題で取り組むことによって自然と興味が湧き、論理的思考を鍛えるとともに自分自身の視野もさらに広げることができたと思います!

    ◆「English Clock ロジカルリーディング力 強化コース」(全8回)

    次期は2024年5月に開講です。(全面リモート受講)

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    ◆【山根克之講師のコラム】ロジカルリーディング力を鍛える

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